【呪術廻戦】この世で一番臆病な私

下級怨霊だと聞かされていたのに自分よりも階級の上の私が吹っ飛んできたんだからしょうがない


「四階、図書館ッ＿多分、まだ生きてるッ」
最低限を伝えると理解したのか窓ガラスを割って外に出た



壁から抜けるとパラパラと欠片が落ちる
両手は無事
何とかなる

近づく気配と感じる衝動
先程よりも強く多く呪霊を出して構える



ガリガリと牙をこする音
赤く光る眼

「うさぎってもう少しかわいいものじゃない？」
「ギャワゎイイいぃいイぃいぃ」



「アじょぉボぉおおォおオ」

「お゛おぉオぃじぃイイいいぃいいぃイィ」

向こうの動きが早すぎて防戦一方



ドゴォォオ
再び壁に打ち付けられ爪が腹に食い込む
視界が赤くなり頭が回らない



「おい！無事かッ」

目線の先には恵
式神を召喚しこちらに向かってくる

それに気付いたのか私から恵に対象を変更し振り返る





「って＿何すん、だ…」
「＿＿よそ見は感心しないな」

恵を突き飛ばし右腕を犠牲にして呪霊の動きを止める
そのまま左手を口に突っ込みすり合わせた

「＿＿領域展開＿天地開闢(てんちかいびゃく)＿＿」

血なんて似合わない艶やかで神秘的
でも混とんとしていて終わりが見えない嫌な空間
私たちを囲むのは別天津神(ことあまつかみ)

呪霊は自らを呪い朽ちた

噛まれた右手の印は血で見えなくなっていた




フラフラと校舎を出ると恵が近づいてきた
私は耐えられず身を預ける

「作業員さん達、生きてた…？」

「あぁ、全員」





ヒューヒューと弱い呼吸
横抱きにして車まで運び後部座席に寝かせる

「伊地知さん出してください、俺は電車で帰るんで」




「自分犠牲にしてまで俺(他人)庇うのかよ」

手についた血を洗うために校舎に戻った