【鎧武】おにーちゃんと俺『バロン』 (ページ8)

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６．過去Ⅱ（序盤ちょとぐろいシーンあり）ページ8

夏休みが終わったころ、妹が姿を現した。

１６歳の頃みた醜い姿で。

「おはよ」

声をかけると「おはようございます」と言って部屋に行った。

部屋に行くと

「私はいらない子」そうずっと呟いて目を開いて、口からは唾が垂れる程開けたままで
自分の手首にとがった爪をすり続けた。

ツプッ・・そんな感じに血が出たとき俺は賭けよってその血を拭った。

「A？A！」

倒れそうなAを抱いて支えた。

酷い熱、しかも部屋の端に積み重なる教材他の端には習い事の道具。
彼女のものなんて何一つなかった。

反応なんて無かった、でもあえて母には何も言わなかった。

誰も気付きやしないんだ妹の異変に。

限界が来てた。

そんな中、カイトに会い

音楽の好きなAに何か出来ないかと思ってダンスを始めた。
そのうちにペコにも会ってチームを作ろうとバロンを結成したんだ。

何度もAを誘った。

一度も来なかったんだ。

いつしかインベスゲームを流行ってきて。

そしたらAに会えたんだ・・

嬉しいと同時に何もしてやれないと心臓が動くのを忘れた。

そして父から後から聞いた話Aはあの夏休み
散々な事になっていたらしい。

あまりに何も出来ないと母が嘆き、それならと機関にいれたらしい。
結局何も変わらないと気が済むまでぶってもう一回入れて、を繰り返していたらしい。

だからあの日母は手を洗っていたのだ。

「おはよう」「うん、おはよ」

子供の頃まだ微笑程度はあったAが

「おはよ」「おはようございます」

今にも消えそうなうつろな目で言うんだ。

俺だって辛いことはある。

勝手に苦しんでる、何も出来ない自分に。

「お兄ちゃんと一緒に逃げよう！」

そう言ったアイツが４歳の頃夏、あれを言った時から
彼女はその言葉ずっと信じてくれたのだろうか。

あの向日葵に約束した綺麗で純粋な光。

俺は忘れたんだろうな・・・