結晶24粒 ページ25
─
ぽす、と温かいなにかが頭にのった。
バッと横を見ると、私の顔を覗き込む色素の薄い瞳。
「へ」
結構距離が近く、思わず変な声がでる。
明智さんも、目が合うと飛び退くようにしてそっぽを向いてしまった。
……私の頭には、手を置いたままで。
心地よい重みに、手の温かさに、波立っていた心が徐々に静まっていく。
同時に、込み上げてきそうな何かを顔をしかめて抑える。
「……我慢、しないでください」
「……？」
「私は、その涙を止める術を知りません。
引きずれば、一層傷は深く残ります。
だから今は泣いて、吐き出して、それから何時もの貴方に戻れば良い。」
頭にのせられた手がわしゃわしゃと髪を乱す。
頬を、温かな雫がつたう。
8年前の比にならないぐらい、大声をあげた。
「ｯﾋｯｸ、うわああああああん！！」
何も考えてなかった。
自分がもう高3だとか、よく知らない人が隣にいるとか、どうでもよく思えてた。
思う存分、声をあげて、涙を流した。
何か、支えが欲しくて、明智さんのスーツの袖を握る。
一瞬ビクッと震えたけど、振り払わずにいてくれた。
漸く泣き止んだ私がぐしゃぐしゃになった明智さんのスーツの袖を見て平謝りしたのは、まだ記憶に新しい黒歴史。
その後、明智さんが私に告げた。
「佐賀美さん。最後に言わせてください。」
「？」
「復讐に、“勇気”はありません。
そこにあるのは、憎悪と、哀しみだけです。
これだけは、覚えておいてください。」
「……はい」
私が復讐に走らないのは、多分、このときの明智さんの言葉のおかげ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 62人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
camellia(プロフ) - すぃさん» 読んでくださりありがとうございます！ はーい行ってらっしゃいませ！！ (2019年10月20日 8時) (
レス) id: 3318b01060 (このIDを非表示/違反報告)
すぃ - camelliaさん» 続編行って来ます！ (2019年10月20日 8時) (レス) id: 045c20b509 (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - まるさん» 申し訳ありません、修正の際に誤って立ててしまっていました。ご指摘ありがとうございました。 (2019年1月2日 21時) (レス) id: 3318b01060 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい、違反行為です。外し忘れ、とかいう軽い意識はおやめ下さい。作品を消されても仕方のない行為です。オリジナルの新着に二次創作が上がってくる事を不快に感じる人もいます (2019年1月2日 21時) (レス) id: cec6dd7646 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：camellia | 作成日時：2018年7月11日 20時
