結晶17粒 ページ18
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玲子さんと出会って二年ぐらいした頃、今の親に引き取られることになった。
小学校三年生で、転校もしなきゃいけなかった。
施設から引っ越す三日前、ちょうど玲子さんの公演があった。
いつものように電車とバスを乗り継いで、いつものように玲子さんの控え室を訪ねる。
控え室は沢山の花束で溢れかえっていた。
「あら薫ちゃん。いつもありがとうね」
「いえ、私が好きできてるんですから」
途中で買った小さな花束をさしだす。
「……ねえ、玲子さん。ごめんなさい」
「どうしたの、急に謝ったりして」
少しでも間をあけると何かがこらえきれなくなりそうで、詰まりぎみに言葉をはく。
「……いつも、じゃなくなります。こうやって来れるの。
引き取られることになりました」
「……！」
「でも、来れる限りはきます！お小遣い貯めて、絶対観に行きますから！」
今までは、行けるくらいのお金が貯まると丁度公演があるペースで消費していた。
行く回数は少なくなるけど、その分遠くでも行けるようになる。
「………良いわ、待ってる。薫ちゃんが意地でも観にきたくなるように頑張る。
それに、誰の子どもになっても薫ちゃんは私の娘だって、勝手に思ってるから。」
そう言って、玲子さんは花束の中から一輪の花を取りだした。
ピンクの小さな花が集まった可愛らしい花。
「この花はね、バーベナっていうの。
花言葉は、“家族の絆”よ」
玲子さんの綺麗な手が私の髪に触れた。
「うん、よく似合うわ。薫ちゃんの髪って、綺麗な黒髪ね」
髪をいじる優しい手つきに、涙があふれた。
「ほらほら泣かないの。永遠の別れじゃないんだから」
玲子さんのやわらかな声にも逆らって、私は声をあげて泣いた。
迷惑をかける。
そう分かってても、止まらなかった。
開始直前まで私をなだめてくれた玲子さんは、その後笑って、舞台へと去っていった。
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camellia(プロフ) - すぃさん» 読んでくださりありがとうございます！ はーい行ってらっしゃいませ！！ (2019年10月20日 8時) (
レス) id: 3318b01060 (このIDを非表示/違反報告)
すぃ - camelliaさん» 続編行って来ます！ (2019年10月20日 8時) (レス) id: 045c20b509 (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - まるさん» 申し訳ありません、修正の際に誤って立ててしまっていました。ご指摘ありがとうございました。 (2019年1月2日 21時) (レス) id: 3318b01060 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい、違反行為です。外し忘れ、とかいう軽い意識はおやめ下さい。作品を消されても仕方のない行為です。オリジナルの新着に二次創作が上がってくる事を不快に感じる人もいます (2019年1月2日 21時) (レス) id: cec6dd7646 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：camellia | 作成日時：2018年7月11日 20時
