鷹 21 ページ21
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《 鷹ガール 》
9連敗と言う言葉は、ファンとなった今では凄く凄く重みに感じる言葉だ。どれだけ勝ちに奮闘しようとも、どんなに勝利を掲げていても、どうしても届かなかった。
周りの音や声は、啜り泣く声もあれば嘆きの声もあったりする。帰り支度をしては、そそくさと帰路につく人もいる。色んな人がいる中で、まだまだ立ち上がれない私は、余韻に浸って少しずつ涙が出て来そうになる。
きっと、傍から見れば鼻が赤くなってる自分に引いてる人とかもいるんだろうなぁ。何て、人なんて対して他人の事とかあまり見てないからと、持ってきたタオルに顔を埋める。
時々聞こえてくる批判的な声が嫌いだ。9連敗は、確かに観てるこっちもキツイけど、自分が応援してるチーム何だからと、心の中で対抗してみる。
推しと言う推しはいないが、選手達の躍動溢れるプレーは、観てて鳥肌が立つ程痺れるし、かっこいいとすら思う。今の癒しは、広報の方が写す写真に、和気藹々とした選手の姿を見る事が癒しだ。
敢えてコメント欄は見ないようにはしているが
.「あっ」
きっと、あの人がカメラマンかもしれない。しゃがんでカメラを見ているその子は、距離があるからあまり見えないけど、だけど、カメラを持ってる。それだけで皆が美人だとかイケメンだとか騒いでる人なのかもしれないと思う。
暫く見ていれば、カメラマンさんは顔を埋めた。よく見ている訳じゃないけど、スラリとした高身長なのは印象に残っている。だから、あんなに小さく見えてしまうのは、何だか私と同じ様な感情を持ってるかもしれないと、勝手に同情する。
そんな所に、1人の選手が来た。背番号には9と書かれてたからキャプテンの柳田選手だ。しゃがんでるカメラマンさんに一声かけては、頭を撫でたり肩を叩いたりしている。
素敵だなぁ。カメラマンさんに迄気を配れてて。時々子供っぽい言動のある選手だけど、漢らしくて決める時は決める。
暫く見てたら、2人ともグラウンドからはけて行った。丁寧かつ律儀にもお辞儀をして。釣られて私もそんな2人にお辞儀をした。きっと見てはいないだろうけど。
.「私も帰ろ」
今日は何を作ろうかな。負けてしまった推しのチームにでも、やけ酒でもしようかな。見に来れなかった旦那にでも愚痴を吐いて。きっと彼なら一緒になって落ち込んでくれる筈。
だってやっぱり、悔しいものは悔しいから
「あの、これ落としましたよ」
.「え、あぁ、ありがとうございます笑」
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作者名:RIKU | 作成日時:2023年7月11日 2時