鷹 15 ページ15
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和子「よいちゃん、もしかしてそのタオルって…まさか」
「違います!今日は、…違います!」
和子「じゃあ誰?」
「これは、…比江島選手です」
和子「それは何でもってるの?」
「凛君が好きな選手を、はい」
和子「仲良いねぇ、笑」
「なっ、違います!」
和子「ほう?笑」
「凛君がさっき、あの…」
和子「え、さっきの人お兄さんだったの!?」
「はい」
そう。昨日今日明日は西武ライオンズとの試合で埼玉に来ている。昨日から埼玉にいるけど、よいちゃんが誰かからの電話で外に出るから好奇心でついて行ったら、よいちゃんが紙袋を貰っていているのを見たけど、まさかその人がお兄さんだとは…。
こっちに気付いて頭下げてくれてたけど、あれは絶対いい人
背丈はよいちゃんよりも高かったし、別れ際に「頑張って」と声掛けてたのには、もう最早カップルみたいだった。あぁ、この表現は良くないな。特に周東君。
柳町「あれ、どっか行ってたんすか?」
和子「うん。柳町君達こそどこか行くの?」
柳町「ちょっとコンビニに笑」
和子「あーね。気を付けて行ってらっしゃい」
周東「A」
「はい」
周東「何その紙袋」
「あぁ、兄から先程頂いたんです。
ワールドカップの戦利品です」
上林「お兄さん来てたんだ」
「丁度先程、はい」
なるほど、よいちゃんは普通に素直に答えるタイプか。まぁ、そっちの方が変に誤解される事無く修羅場という修羅場にもならないしいいね。
それにしても、周東君は気付くのが早い。足の速さだけでなく、こう言う所にもスピードが活かされてるのか…。恐るべしホークスのスピードスター。
柳町「因みに何?戦利品」
「タオルを…」
周東「誰?富樫?笑」
「凛君の好きな比江島選手です…笑」
周東君、顔。何に嫉妬してるか分からないけど、因みに凛君はお兄さんの名前だからね?確か宵宮凛太朗君でしょ?あなたの彼女である宵宮Aのお兄さんなんだから、そこに嫉妬してる訳じゃないよね?タオルだよね?よいちゃんが持ってるその比江島選手タオルに嫉妬してるんだよね?
まぁ、あながち分からなくもない。だってホークスに所属しておきながらよいちゃんは選手タオル持ち歩かないもんね。まぁ、持ち歩いててもファンの子が知れたらどうなるか分からないんだけども…。
ね、シビアな世界。
上林「思ったけどよみってうちのタオル持ってるの?」
「あ、和子さん。私これ置いてきますね」
和子「う、ん…笑」
柳町「あの子絶対持ってないね」
周東「良くないなぁ、笑」
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作者名:RIKU | 作成日時:2023年8月23日 21時