迷い込んだのは… 一人の巫女？ 肆 【文スト】

◇百二、 浴衣が見たいだけ ページ6

神社に帰ると、私は自室に行って畳に身を任せて寝た。…足疲れた。

鈴神と雩鈴も同じように他の部屋でそうなっているだろう。最近は忙しいもんな…。たまには何処かへ遠出してみたいものだ。


「今、何処かへ遠出してみたいな〜って思った？」


だって最近依頼ばっかだし遠出したとしても結局依頼ばっかだしそして依頼ばっかだし。


…ん？ 今、誰が言った？



がばっと寝ていた体を起こし、周りを見渡してみると、…


「やぁA。今の心境は？」
『…気分を害された気分。』


若干日本語がおかしいのは十分理解している。だけど、それよりも何故此処にこの男…太宰がいるのかが分からない。
もうさん付けも糞もない。呼び捨てでいこう。


「まぁまぁ、最近話す機会もなかっただろう？」


まぁ確かに、ここ最近話してないのは事実だけど…。別に話したいなんて望んでもないですし。


『…で、結局何の用ですか？』


すると、太宰さんはまた笑みを浮かべてこう言った。


「一緒に旅館に行かない？」


『…え？』

「だから、旅館。」



何を言っているんだろうこの人は。
いや待て。勿論探偵社のみんなでだよね。

『あ、探偵社のみんなでですよね？』

「いや？ 二人でだけど。」

『誰と誰の。』

「私と君の。」

『…。』



いよいよ頭がおかしくなったのではないか。そして何故唐突にその様なことをいいだしたんだ。
勿論絶対断る。


『…私は忙しいのでそんな時間ないですから。』

「大丈夫、もうホームページには休むことを書いておいたから。」


いや勝手に何ハッキングしているんですか能力の無駄遣いとはこの事ですよ

…ん？いや待てよ…。


…よし、これだ。この作戦でいこう。




『分かりました。私も行きます。』

「そういうと思ってたよ。もう明後日に予約しているから日時はまた伝えるよ。ちなみに◇◇旅館だから。」



と言って嬉しそうに出て行く太宰。
あーぁ、旅館の名前まで言ってくれて…。

…そんな簡単に予定通りにはいかせないぞ。



私はさっき聞いた旅館の名前を頼りに、そこへ電話することにした。

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