No.09 ページ10
(桜井)
胸元にあるPHSが恵の物と同時に鳴り、私はタップして通話に出た。
通話内容は被害がどの程度か正確に分からないため、フェローの代わりに先に現場に向かってほしいとの事。
私はすぐに通話を切って走り出した。
はるちゃんから医療用バックを受け取り、藤川と反対のドアからヘリに乗り込んで操縦席を見れば親指を立てている梶さんの姿。
久しぶりのドクターヘリと安心する梶さんの姿に懐かしい感覚を思い出しながら、ヘッドマイクを装着する。
その慣れた動作に思わず笑ってしまう。
「桜井先生？」
「やっぱ、桜井はヘリが一番似合うな！」
『ふふ、ありがと。梶さんもお久しぶりです』
《おう、桜井先生も戦場に戻ってくるとは物好きだなぁ》
『私もそう思います。けど、結局私は救命が一番あってるみたいです』
そう、私が返せば梶さんも笑った。前に座ってる藤川も、はるちゃんも笑ってる。
やっぱり私はフライトドクターみたいだ。
ヘリ内でトリアージの準備をし、現場についた瞬間に降りて消防隊長に状況を説明してもらう。
「桜井！ここは俺とはるかで回すから奥行ってこい！」
『了解っ！』
フェローの時は少し頼りなかったけど、7年経った今では本当に頼りになる。
はるちゃんが好きになる理由も分かるなぁー。
私はその場を2人に任せ、レスキュー隊員に案内された山車が倒れた安全確認の済んだ小屋の中に入る。
そこには小学生ぐらいの男の子。
『翔北救命センターの桜井です、分かるかな？』
駄目だ、意識レベル弱い。
しかも位置的に壁と小屋に挟まってるから上からのアプローチしかない。
私は急いでペンライトで瞳孔の確認をしようと壁に当たてしまうシーバーを自分が寝っ転がってる横に置く。
てか、この体勢きつ。
「山車が倒れるぞー！」
『え、っ！』
そんな声が聞こえて、慌てて私は男の子を庇うように男の子の頭を自分の腕と頭で守る。
鈍い音と共に身体に痛みが走って、何か落ちるような音がする。
『……っ』
左目の視界が赤くなったと思い、急いで手で触れてみればそこに付いているのは血。
目の上を切ったか、頭を切ったのどっちだ。
探るように触れば一気に痛みが走る。
『……先に男の子の方を……え、うそ』
手元にあったペンライトとすぐ傍においてあったシーバーが無くなっている。
不味い、さっきので何処かに落ちたんだ。
『レスキュー！うちの医者をもう1人呼んでもらってもいいですか？』
出来ることしよう。
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Yuri - 更新、楽しみにしています！ (2018年8月2日 21時) (
レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - ☆ゆゆまる☆さん» ありがとうございます。すぐに確認し訂正させて頂きます。 (2018年5月27日 18時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - みかさん» 返信遅くなりすみません。ありがとうございます、すぐに訂正します。 (2018年4月14日 18時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
みか - No.１８で「行ってたの」が「言ってたの」になってますよ (2018年4月2日 13時) (携帯から) (レス) id: cb44cdb910 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - 真衣さん» 感想ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2018年3月30日 14時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚希拓海 | 作成日時：2018年3月20日 21時
