恐怖 ページ3
【あんず視点】
「い、嫌・・・お願い、誰か、助けて・・・」
夕暮れ時の夢ノ咲学院。
私の弱々しい声が、夕日に吸い込まれていくように響いた。
涙で前が見えない。足もガタガタ震えていて、とても前に進める状態ではなかった。
でも、進まなきゃ。私の命が懸かっているのだ。
「逃げ、なきゃ・・・」
壁に寄りかかっていた私は、再び進もうと足を踏み出した。
「あ〜んず♪」
「ひっ・・・」
しかし、私の腕は何者かに掴まれ、進む事は不可能になった。
そのまま私は引き寄せられ、その人物の腕の中。
まるで極寒の地にいるかのように震える私に、彼は囁く。
「そう怖がらないでよ。俺はあんずの血がちょっと欲しいだけなの♪殺しはしないからさ・・・」
そんな言葉だけで落ち着けるわけない。
そもそも血を吸われるという行為も、怖くて仕方ないのだ。
「お願い・・・凛月くん、離して・・・」
「え、やだ。せっかくご馳走が俺の腕の中にいるのに?離せるわけないじゃん。・・・大丈夫、痛いのは最初だけだよ。・・・だから、ね?」
「ま、待って・・・!嫌っ!」
凛月くんの吐息を、首筋に感じた。
恐怖と嫌悪感が一気に襲いかかる。
もう、だめだ。
「あんずちゃんに手を出さないでって、いつも言っているでしょう?凛月くん。」
凛月くんの体が私から離れ、突然現れた人物に向く。
私はその人物が目に入った瞬間、ほとんど衝動的に「助けてください・・・」と情けない声を出していた。
その人物はすぐに私と凛月くんの傍まで歩み寄り、凛月くんから私を引き離した。
「あんずちゃん。もう大丈夫だからね。」
そう言って優しく微笑むのは、黒崎A先輩。
私と同じ『ケーキ』である。
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ユミカ(プロフ) - はる。さん» コメントありがとうございます!まだまだ少ないですよね〜泣・・・もっと増えてほしいですね! (2017年7月4日 20時) (レス) id: adf92d0f83 (このIDを非表示/違反報告)
はる。(プロフ) - ケーキバース…。なかなか少ないので嬉しいです! (2017年7月4日 15時) (レス) id: 905d58e753 (このIDを非表示/違反報告)
ユミカ(プロフ) - ゆーのんさん» コメントありがとうございます!かっこいい主人公を意識して書いているので嬉しいです♪更新頑張ります・・・! (2017年3月7日 21時) (レス) id: 424560f613 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーのん(プロフ) - 主人公かっこいいですっ!このあと、どのような展開になるのか楽しみです!頑張って下さい! (2017年3月7日 21時) (レス) id: 50705d236f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユミカ | 作成日時:2017年3月5日 19時