偽物の笑み ページ27
みんなが悩んでいる中で、私はベンチに座っていた。
明日は試合だって言ってたけど、こんなことして大丈夫なのかな？
そんなことを思っていると、
「隣、いいかい？」
『あ、はい。どうぞ』
野坂先輩が隣に来て、私の隣に座る。
『先輩は私の異名、決めたんですか？』
「ああ。とっくに決めてあるさ」
先輩が考える異名って、ちょっと恐い感じがあるんだけど、いったい何故？
「君のクラスメイトの、武石和真くんだったかな。その子も野球部？」
え？
突然、野坂先輩がそんなことを言い出した。
『ま、まあ。そうですけど』
「そうか、いきなり聞いて悪いね。少し気になることがあっただけだから、君は気にしなくて大丈夫だよ」
戸惑っていることがわかったのか、野坂先輩はそう言って笑いかけてくれる。
だけど、安心はできなかった。
野坂先輩も、武石くんのことは気になっているんだ。
先輩の勘は、とても鋭い。
もしかしたら武石くんも、なにか関わっているのかもしれない。
「光くんから聞いたけど、野球部にあとをつけられたんだってね」
『はい...』
思わず俯いた私を見て、野坂先輩は言った。
「野球部の誰かから、被害を与えられたりした？」
『いえ、そういうのはありません。だけど、少し不安で...』
そう言ってから、はっ、とした。
『野球部がなにかしてきたわけじゃないですから、きっと大丈夫ですよ。野球部は真面目な子ばかりですし、私も不安は特にないので大丈夫です』
そして私は、偽りの笑みを貼り付ける。
こうでもしないと、また迷惑かけちゃう。
心配されるようなことはしたくない。
野坂先輩は黙って私を見つめると、口を開いた。
「ちょっと、話そうか」
そう言うと、私の手を掴んで立ち上がる。
そして、
「みんなはそのまま、紅月さんの異名を考えてくれ。僕は彼女にマネージャーの役割を教えてくるよ」
みんなにそう伝えたあと、私の手を掴んだまま歩き出す。
『の、野坂先輩？』
呼びかけてみるも、先輩はなにも答えない。
行き先もわからぬまま、私は野坂先輩に黙って手を引かれていた。
どこにいくんだろ。
そう思っていると、突然、野坂先輩は足を止めた。
『あの、野坂先ぱ「さっきの笑顔」え？』
呼ぼうとしたところを遮られ、私は困惑する。
先輩はこちらに振り向くと、真顔で言った。
「さっきの笑顔、"偽物"だったでしょ。バレバレだよ、君、なにか隠してるよね？」
そう言われて、私は驚いて目を見開いた。
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Flow(プロフ) - コメント欄の下の方に荒ぶる受験終わりがいる(語彙力) お久しぶりですにゃんたまファシルさん。 しばらく読んでなかったんですが、めっちゃ増えてて驚きました(*^^*) これからも頑張ってください(私が誰かは察して下さいな) (2020年7月11日 9時) (
レス) id: d234e6b38d (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたまファシル(プロフ) - 杳覇さん» ぎゃーっ！え、もう嬉しすぎます！まじでホントにありがとうございます(語彙力)更新頑張らせてもらいますっ！ (2020年6月20日 20時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初コメ失礼します！他にない状況設定、主人公ちゃんの無理のない性格、魅力的なオリキャラとどれをとっても文句のない、めっちゃ面白い作品ですね！！一星兄弟や野坂くん達も良い味出しててキュンときました！お体に気をつけて、更新頑張って下さいね！！ (2020年6月14日 22時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたまファシル(プロフ) - りら。さん» ありがとうございます！いやいや、あなたの作品もいいと思いますよ！誰も見ないならこの私が見ます((( (2020年5月18日 12時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたまファシル(プロフ) - あかりさん» 大体な野坂くんもいいですよね (2020年5月18日 12時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
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