黒薔薇が咲く監獄にて。II

25. 〃 ページ47

潔は他のメンバーが自陣に戻るまで時間を稼ごうと、蜂に立ち向かう。



身に染み付いた呪縛を解き放つには己から動かなきゃいけない。蜂楽は必死に足掻いて、もがいて、強引に突破していく。






もう '' かいぶつ '' にパスなんか出さない！！





この時点で蜂楽廻は、今までの蜂楽廻ではなかった＿＿＿。





『逃がさねぇよ！！』

『こっちだ、蜂楽！俺並走。』



二人の声なんか聞かない。パスなんか出さない。

二連股抜き!!




『暴走モードかよオカッパ！』




黙れ!これは暴走じゃなく＿＿＿＿

呪いを解くための覚醒だ！！



三連股抜き!!




『キッレキレじゃん、このままじゃやられる...！』




間違いなく今＿＿＿＿この戦場(フィールド)で蜂楽廻(アイツ)は誰にも '' 読めない '' 危険人物(ジョーカー)！！！




｢凛。＿＿＿＿｣


『！、ああ。』



Aと凛が動いた...！？その位置(ポジション)は＿＿＿＿

囲まれた蜂楽がパスを出しやすく、受け取った時点でそのままゴールへ抜け出せる走行経路(ランニング･ルート)！！


いや、俺にも見えてる！！ここはAから奪取する！！




『奪ったら敵陣ガラ空き！！』

『暴走の代償だな！』

『奪(と)ったら大機会(ビッグチャンス)ってコトね...』



うっせぇなさっきから
俺の周りをチョロチョロと____



目障りなんだよ、クソザコ共が!!



3対1で囲まれている状況だというのに自我を忘れてはその場でリフティングをする蜂楽。その傲慢さに周辺の者たちは皆、予想不能である蜂楽の行動を窺うしか他になかった。



潔(ともだち)なんか、いなくても＿＿＿＿


戦え!!!

没頭しろ!!!

情熱は俺の中にある!!



凛とAが左右に駆け上がる。'' かいぶつ '' の黒煙を身に纏っているように見える凛とふと目が合った今の蜂楽にとっては凛ですら目障りだ。



『＿＿＿＿バイバイ、'' かいぶつ '' 。








奪り戻せ!
』

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