黒薔薇が咲く監獄にて。II

22. 〃 ページ28

｢何気ぃ抜いてんのさ、キミィ…｣



そうはさせなかったのはAであった。ボールを一瞬、トラップしては千切と潔との間を狙って割り込んだ。



『！！？、A…！？』




＿＿＿＿マジかコイツ…！俺の '' 動き出し(オフ･ザ･ボール) '' を…完璧に読んでる！！


クソ、俺の動きもAの思考範囲内ってコトかよ…！？




｢…凛。｣




着地したAは凛に一瞬と眼を合わせて合図してはボールを保持しながら切り返して敵陣へと走り出していく。
それに呼応した凛が駆け上がり、その状況逆転の動きに後から蟻生と蜂楽も動くのだ。



見えてる戦場視野(フィールドビジョン)は同じなハズだけど＿＿＿＿…予想到達点まであと1歩Aの方が速い！




『目立ち過ぎだ、クソ青髪野郎』


『させるかよ。』





行く手を阻む馬狼と凪を目にしたAは真横に居る蜂楽にボールパスをした。




『！』


｢＿＿＿＿ゴールまでおいで、パッツンちゃん。｣



『いぇっさほいさー♪』




今度は蜂楽が得意のドリブルで一気に攻めていく。





『クッソ、』 『ﾁｯ』



『戻れ！カウンターだ！！』





凄いや潔、あの2人に1番追いつこうとしてる…でも、俺だってもっと出来る！もっと戦場(フィールド)に発想(アイデア)をブチ込んでやる！！




『𝐒𝐇𝐎𝐂𝐊！』





這いながら上昇(アガ)ってく滞空時間の長い超ロングパス。蜂楽の狙いはAへのパスじゃない＿＿＿＿

＿＿＿＿蟻生だ。




『恐ろしく綺麗な縦回転。美しいな。』



『オシャ野郎潰す！』



千切のスピードでは追い付けるし、凪もゴール前へ戻っているのでこのパスは通らない！



…気付いてよオシャさん、その発想(パス)は＿＿＿…

'' 点 '' じゃなく '' 線 '' で感じて。





『！？＿＿＿＿成程。』



この '' 放物線 '' は落下地点まで待っていては誰かのモノになる合図… '' 放物線 '' が描くその途中＿＿＿＿

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