だしにされる同僚 ページ8
イケメンに挟まれて、女性社員に羨ましい、そこ変われと目で訴えられる湊はたまにこいつら片方のどちらかだけと二人で飯に誘われることがある。
いつか胃に穴が開いてか、胃痛で休むことになるんじゃないかと思う湊。
「俺の胃は元気でいてほしいなぁ」
「…なにいってんの」
今度は朝倉が湊を引いたような目で見る。
湊は、今度は溜息をこらえて、るっせ、と言って仕事に戻った。
◇
「で? なんかあるんだろ」
「え、っと、今日ってバレンタインでしょ?」
ご飯すら食べ切ったにもかかわらず、中々本題に入ろうとしない三葉に、朝と同じように盛大な溜息を吐く。
朝倉関係で惚気られるであろうことは分かっていたが、かといって何も聞かずに戻るのは何か違うと本題に入るよう促す。
言いにくそうに少し湊を一瞥した三葉は申し訳なさそうに話しを始める。
要約すると、今日はバレンタインだから、恋人である朝倉にチョコをあげたいと思っている。
ただ、朝倉は去年、一昨年と同じように朝倉はたくさんチョコをもらっていたからさらに増えるのは面倒なのでは、ということらしい。
それを聞いた湊の感想はめんどくさいの一言に尽きる。
渡したいのならさっさと渡せばいいのに、と呆れる。
どうしよう、と迷っているような表情を見せる三葉に、意識せずとも深いため息が湊の口からこぼれ出る。
「早く渡せばいいだけだろ。好きな奴にもらうチョコが迷惑なわけないんだから。それともお前は朝倉にチョコをもらうのは迷惑か?」
「そ、そんなことないよね、うん! ありがとう!」
「じゃあ相談料ってことで奢りな」
呆れ返った湊が率直な意見を言うと、何が三葉に響いたのか、普段の明るい表情に戻った。
そのまま会社に戻ろうとする三葉を引き留め、湊は笑顔で手に会計の票を握らせる。
少し肩を落とす三葉は早く朝倉のところに駆けて行きたかったらしい事が伺える。
◇
二人で社内に戻るために会社のロビーを通ると、そこで朝倉と鉢合わせた。
だから、何で俺のいるところで会うかなぁ、と湊が思っていると、おもむろに朝倉が三葉の事を抱きしめた。
もちろんそこは外で食べた会社の人とかもいるわけで、簡単に人目に晒されるわけで。
三葉は当たり前のように赤面するし、朝倉から離れようとする。
そんな三葉を抱きしめる彼は離すまいとさらに力を籠める。
湊は思わず頭を抱える。
いちゃつくのはいいけど、人目にさらされるようなことはしないでほしい。
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