書記長に唯一送られた花 ページ3
「なぁ書記長」
「変な質問やったらする前に手ぇ動かしてや」
まだ聞いてすらないのに、こちらの話になんか耳も傾けず書類を淡々と処分していく。
変な質問、ではないと思うのだけれど。
総統の世話(という名の監視)係を任命されたのが数日前。
彼を見ていて一つ疑問に思ったことがある。
なぜ彼の贈り物はすべて花なのか。
もしかしたら、総統の補佐役である、書記長ならわかるかもしれない。
彼はすぐ花を処分するくせに、嫌だと言っていない。
この間だって、一輪だけは捨てないように言っていた。
あのあと捨てられた可能性もあるが。
「書記長は花がお好きなんですか」
「いや、特には。むしろあると少し邪魔やと思うくらいで何も思わん」
そんなんどうでもええやろ、はよ手ぇ動かし、なんて厳しい口調で言う。
男に花もどうかと思うが、たかが花、されど花だ。
冷めてるお人だ、などと思いながら一緒になって書類をこなす。
邪魔だと言っていた書記長の机には花瓶に活けられた一つの花があった。
彼の赤いマフラーに似合わない、一つの紫色。
あの花はオダマキか、なんて思いつつ花を眺めていた。
──────
オダマキ【愚か】
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兆(プロフ) - 月夜さん» コメントありがとうございます！何度も書いては消してを繰り返してなんとか出来上がった作品なのでとても嬉しいです。のんしゅさんの作品もとても素晴らしいですよね！また今週上がるので是非☺️ (2022年7月9日 12時) (
レス) id: 9b683a0bf2 (このIDを非表示/違反報告)
のんしゅ(プロフ) - 月夜さん» ときさんの作品いいですよね分かります (2022年7月5日 20時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
月夜(プロフ) - 一話完結なのに伝えたいことがすべて伝わる文才羨ましい (2022年7月5日 0時) (レス) id: 257462e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
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