過大評価の色 ページ13
「ここが王城ね……」
本日快晴、絶好の登城日和だ。
数日前、あんな手紙さえよこされなければ今日は依頼もなくのびのび過ごせたはずなのだが。
あんな手紙、というのは今証明書代わりに持ってきているもののことで、内容は短く王城に来て情報を売れとのこと。
でも何が欲しいのが全くわからず、内容を聞いてから集めて持ってくることにはなりそうなのだ。
本当、何がほしいのかさえ言ってくれれば情報に限り数日もあればある程度売れる量までは入荷できたのに。
手紙は現国王、コネシマからのもので、この間来た鬱と仲がいいらしい。
大方、あいつがコネシマにおれのことを言ったんだろうな、くそったれ。
コネシマの前では悪態をつけないのだから、今のうちについておかねば。
相手はお客様であり、国王だ。
少しでも不敬なことをすれば……。
気を引き締めていこう。
「何者だ？」
「陛下に呼ばれた情報屋です」
───思ったよりすんなり通してくれた……。
門番の兵士が優しくて拍子抜けだが、心配になるほどの警備の緩さだ。
オレの顔が割れてる……わけではなさそうだよな。
“陛下に呼ばれた情報屋”っていう言葉が重要なのか？
不思議に思っている間に、応接間へと通され、そこにはすでに国王コネシマが佇んでいた。
「早速やけど……情報を売ってくれへん？」
「コネシマ様、どの情報がお望みでしょうか」
「あんたの情報を集める手段について」
あぁ、たまにいるんだよな、こういう客。
オレたち情報屋にとって、情報を吐かせる技術は命にも等しい。
その方法を言えだなんて。
大人しくオレの太客になってればいいのに。
ただ、大事なお客様だ、何も言わないわけにもいかないか。
「そうですね、多くは語れませんが、口に潤滑剤を塗るだけ、と言っておきましょうか」
「もっとはっきり言えや」
「おや、先見の明を持つ優秀な陛下ならわかると思ったのですが……。あなたにネープルスイエローは似合わないですね。この調度品、変えたほうがよろしいのでは」
他の失礼な客と同じような態度を思わず取る。
煽りと言えるほどスバラシイものではないけれど。
その後すぐに我に返り、死を覚悟した。
───最も、ここで殺してしまうような陛下であれば、ここの調度品にネープルスイエローが使われることはなかっただろうが。
──────
ネープルスイエロー【先見の明】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
兆(プロフ) - 月夜さん» コメントありがとうございます！何度も書いては消してを繰り返してなんとか出来上がった作品なのでとても嬉しいです。のんしゅさんの作品もとても素晴らしいですよね！また今週上がるので是非☺️ (2022年7月9日 12時) (
レス) id: 9b683a0bf2 (このIDを非表示/違反報告)
のんしゅ(プロフ) - 月夜さん» ときさんの作品いいですよね分かります (2022年7月5日 20時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
月夜(プロフ) - 一話完結なのに伝えたいことがすべて伝わる文才羨ましい (2022年7月5日 0時) (レス) id: 257462e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
