この蒼空で ページ12
「死ぬなんて酔狂なことをするじゃないの」
『…アンタには関係ないわ』
「僕らっだぁって呼ばれてるんだ」
『話聞きなさいよ』
50階ビルの屋上で、私は身を投げる準備をした
理由？生きるのに辛くなった以外何かあると？
君たちだってそうだろう死にたい死にたい言ってはあいつが悪いこれが悪いと責任を押し付ける
押し付けられた側のことなんて知らないフリをするんだ
理不尽が似合う世界では私は弱すぎた、ただそれだけ
なのになぜか今日初めて会う彼に言葉をかけられた
まぁ止めたら死んでもちゃんと声掛けたのにと罪悪感は薄まるからだろう
そんなもんだわ人間なんて
「本当に死ぬ気？」
『なら他に理由があると？』
「僕なら君を助けられる、知り合いなんだし」
『私は知らないわね』
「だろうね、僕が一方的に知ってた。けど今はそうじゃない」
『何が言いたいのよ』
ほんと、何が言いたいのこの男
柵に背中を預け一瞥もしなかった彼の顔を見る
こんな男になぜこうも惹かれてしまうのかもわからない
嗚呼死ぬ間際じゃなかったらと思わずにはいられない
「死ぬ覚悟があるのなら、死ぬ勇気があるのなら、僕に君の命を預けてみない？」
『はっ慈愛活動ってか？悪いけどもう疲れたの、もう何もしたくないの』
そう、もう何も期待なんてしたくないの
だから
そんな愛おしそうな目で私を見ないでよ
彼の、サファイアのような目は私には毒にすぎないのだから
「大丈夫、大丈夫…きっといまの企業も成功する、もし君を裏切っちゃうことになったらそうだな…俺も一緒に飛び降りるよ」
『…なんで、親しくもないやつに必死になれるの』
手を伸ばしながら優しい声でそんなことを言わないで
そしたら私はきっと
「それはね、君が好きだから」
蒼い空からおちてしまうだろう
【その後の幸せそうな彼と私との生活はまた別のお話】
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サファイア:成功、誠実、慈愛
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兆(プロフ) - 月夜さん» コメントありがとうございます！何度も書いては消してを繰り返してなんとか出来上がった作品なのでとても嬉しいです。のんしゅさんの作品もとても素晴らしいですよね！また今週上がるので是非☺️ (2022年7月9日 12時) (
レス) id: 9b683a0bf2 (このIDを非表示/違反報告)
のんしゅ(プロフ) - 月夜さん» ときさんの作品いいですよね分かります (2022年7月5日 20時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
月夜(プロフ) - 一話完結なのに伝えたいことがすべて伝わる文才羨ましい (2022年7月5日 0時) (レス) id: 257462e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
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