四十三話目 ページ45
下らない事を考えて居る内に高専の敷地内に入る。
「あー!志木いたー!」
「どした、悠仁」
門の近くで何かを探して居る様子の悠仁を見つける。
声をかけようとすると、丁度悠仁も此方に気付き、大きな声を上げる。
其れと同時に此方に走って来るので、何があったのか、と思いながら聞く。
「あんたどこ行ってたのよ!部屋出たっきり全然帰って来ないから探してたのよ」
「何や、そんなことしなくて良かったんに」
少し怒った様子で来た野薔薇に返す。
仕事だとでも思ってくれれば良いのに。
実際仕事だったし。
おれが居無くなっても心配はしないでしょ。
いや今現に心配されている真っ最中だけれど。
「まぁ、迷惑かけてすまへんな」
「ったく、そういうときは『心配してくれてありがとう』でしょ」
野薔薇に謝ると、呆れたように言われる。
おれは心配かけた時は謝らんとあかんかったんやけど。
「心配してくれて有難うなぁ、野薔薇」
「っ、それは私だけじゃなくて中原先生やあのバカにも言ってよね。もちろん、その笑顔付きでね」
無事に高専に戻ったことで気が抜けた状態で言われた通りに謝る。
すると、気付か無い内に笑顔に成って居た様だ。
了解、と野薔薇に言い、欠伸を噛み殺す。
そんな事を話していると、奥の方まで行っていたらしい人も戻って来た。
「仕事なら言ってから行けよ。吃驚するだろォ。お疲れ」
「皆、心配してくれて有難う、な…ぁ……」
いよいよ本格的に疲労が溜まっていたのか、目の前がぼやけて来る。
其のまま眠りに落ちていった。
朝起きて、呼び方はきっちり訂正された。
最悪、敬語を無くした話し方をすると云うならまだ良かった。
然し、名前呼びしかも、呼び捨てとは。
何方もゲームの中だけでは無く、無期限と来た。
今日は大体思われる時間の目安で二時間目の授業。
体術のみならず、武器の扱いも同時に教える事と為った。
おれは武器を使わないし、中也なんて以ての外だ。
「宮都さん何時来るんや?」
「授業前にはくるはずなんだけどなァ。彼奴、何処ぞのクソ太宰と違って時間はちゃんとしてる(筈)だからなァ」
もう少しで授業が始まるという時。
未だに宮都さんの姿は見えない。
入り口を見ると、資料を読みながら
「あ、あれやない?」
指を指すと、中也も其方を見る。
其れからも上がってきた奴は歩みを止める訳もなく、見えた顔は宮都さん。
武器の資料かな。
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