三十一話目 ページ33
「志木は引かないでね〜、王様だーれだ」
五条先生の掛け声でおれ以外が一斉に割り箸を引く。
赤い印の割り箸を引いたのは釘崎さん。
「そうね〜、まず私達の事を呼び捨てで呼びなさい。もちろん、下の名前でね」
「恐れ多いと云うか、烏滸がましいです」
少し考えた後、禅院さんと目で会話し、頷き合ってから命令を出す。
王様と大臣かな、微笑ましいな。と思うと同時に、どうか優しい命令でありますように、と祈る。
但し神様は願いを聴いて呉れ無い様だ。
「王様の命令は絶対なんだからさっさと言いなさいよ。あ、無期限ね」
「あぅ……解りましたよ、野薔薇」
怒るなよ、と思いながら渋々了承する。
王様の言うことは絶対だし。
呼び捨てで呼べば、何か悶える様な格好に成る。
怒られるかなぁ、怒られるだろうなぁ。
リーダー……中也に顔を向け、目で助けを求めるが露骨に目を逸らされる。
「俺は!?」
「こんぶ!」
「悠仁と棘。ええと、恵、真希、ぱ、パンダ?」
ずい、と上体を机から乗り出し、訊いて来る二人の名前を呼ぶ。
其れから、一人ずつ生徒の名前を指差しながら呼ぶ。
悠仁と棘は誰かにやられた様に机に突っ伏す。
恵と真希、野薔薇は破壊力が……や、結構クるな、と顔に手を当て呟いて居る。
おれ何も破壊してへんぞ?
「まぁ俺パンダだしな。下の名前とかないからそれで合ってると思うぞ」
「そうですか。有難う御座います」
最後、パンダを疑問形で呼んだ事から、名前が其れである事を肯定して呉れる。
折角教えて呉れたのだから、とお礼を述べる。
「俺は?」
「俺も言えよ。仲間外れは流石に、なァ?」
名前を呼ばなかった先生達……悟と中也も、悟は同じ様に机を乗り出し、中也は上から覗き込む様に訊いて来る。
悟はともかく、中也は暫くリーダーと呼んで居た所為か、気恥ずかしい。
「悟。ち、ちゅう、や」
「もっとちゃんと言えよ……」
改めて声に出すと、また恥ずかしくなり、つっかえる。
すると、呆れた様に返してくる。
おれ何も悪い事して無いです、助けてください。
悟は満足した様に自分の席に座り直す。
「うぅ……中也」
「うん、まぁいいか」
未だ何か言いたげに納得する中也。
諦めて下さい、中也。
「そういえば、ポートマフィアの首領……森さん?にエリス嬢居ましたよね。エリス嬢も中也って呼んでましたよね。人気ですね、リーダー」
「エリス嬢?あー、エリス嬢も呼んでたな」
少し考える様に返すリーダー。
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