二十八話目 ページ30
伝える。
すると、皆して驚愕の色を浮かべ、此方を向く。
やめろ、みるな。
「俺は良いけど(寧ろもっと甘えて呉れて善いんだけど)狭くねェか?」
「慣れてるんで。てか一人は嫌です」
何かを心配するリーダーに、極普通の様にいえば、其れ以上突っ込んで来る事は無かった。
リーダーにはまた頭を撫でられたが。
一人が嫌なのには理由が有ったりするが、其の話はまた後で。
「ずるい!俺も志木と寝たい!」
「しゃけしゃけ!」
口を尖らせ、不満を言う虎杖さんと、彼の言葉にそうだそうだ!と狗巻先輩が便乗する。
何が狡いんだ、何で一緒に寝たいんだ。
意味が理解らず、思わず心の中で悪態をつく。
おれと寝たって何も面白い事は起き無ぇぞ。
リーダーに確認を取ったらどうせ、今更だろ、とか言われて鼻で笑われるだろうから、訊か無かったけれど。
「何がですか。何でですか」
「俺も志木と寝たい!中原先生だけなんてずるい!」
呆れた様に、また、訝しげに溜息を吐きながら訊けば、駄々をこねたように言って来る。
精神年齢幼稚め、と睨んでも、当の本人は何処吹く風だ。
元々リーダーとは同居しとんのやぞ。
唯でさえ一緒に住むんやったら(居るか判ら無い)好きな人と住みたい筈やのに、其れをリーダーの好意で住まわして貰っとんのやぞ。
唯でさえ野郎との同居なんて嫌やろうに。
「お前、狗巻先輩はともかくお前はちょっとうざいぞ」
呆れ半分、苛つき半分、といった具合の声音で伏黒さんが虎杖さんを止めにかかる。
「……リーダー、何でこんな時に限って仕事の連絡来ないんでしょう?」
「手前ンとこの社長が良い奴なんだろ。てかあれ、止めろよ」
個性の強い人が集まりやすいのか、此の中では此れが普通でおれ達が可笑しいのか。
生徒達を遠巻きにしながら(リーダーの背後に周り、)リーダーに話し掛ける。
そうか、おれが居無いからおれに回って来る筈だった仕事(主に太宰さんの宥め役)を
東京のお土産買って帰ろう。
彼れ、と指を指したのはおれ達が遠巻きにして居た生徒達。
「あの〜……仲良う、して下さいね?」
「志木が言うなら!」
「しゃけ」
リーダーの背から顔を覗かせ、軽く注意をする。
はーい、と手を上げて応えて呉れる二人。
二人共聞き分けの好い人で佳かった。
「お前もう暴走すんなよ」
「だから、そういうところよ!」
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