、 ページ10
一方、此方は依頼帰りの六人。
村の誰かから噂を聞いたのか、それとも随分有名になったのか、ぽつりぽつりと都の方からも、人伝にいらいが届くようになっていた。
どうせなら纏めて済ませてしまおう、と六人揃って都まで出て、翔太と涼太は都での尋ね人の捜索、佐久間と阿部は寺子屋の手伝い、蓮と康二は材木問屋の旦那の荷物を家まで届ける仕事、と何時になく平和な依頼を難なくこなし、帰路に着いていた。
佐｢はぁ…この所ほんとに都も平和になったよな〜…俺らが来たばっかの時は随分忙しない所だったのに〜｣
亮｢殿の体調が安定してきた、っていうのもあるかもね。少し前までは多少なりとも不安定だったし、そんな時に御子息まで色々あったみたいだから、城下の都も忙しなかったのかも。｣
翔｢はー、人間ってのも大変だな。俺此方の世界来るまで関わりたくもなかったからそこら辺の事情はぜんっぜん知らねぇけど。｣
涼｢それも皇族様ともなれば、色々と事情があるんだろうね。…そう言えば、今日依頼してこられた御仁もそっちの仕事してたことあるとか言ってたっけ。｣
翔｢あー、んな事言ってたな｣
蓮｢…そっち系って、城勤めってことすか｣
涼｢否、自警団？か何かの人。｣
康｢成程、それやったら関わりあってもおかしくないか。｣
涼｢最近はめっきり仕事に出てなかったらしいけど、なんでも人攫いが出たとかで駆り出された、って苦笑いしてたよ。｣
亮｢なんかそんな話、村でも噂になってたような…幼子だけ狙ってる、とか言ってたけど。｣
佐｢うーわ、物騒…！真逆また妖だったりする？｣
康｢いや、それは無いやろ…天狗ならラウールの力？か何かで封印されたはずやし、こんなに早く妖力復帰するとは思えへんし。…って、あれ？ふっかさんと照にぃ帰ってきとるやん。｣
家の前に見覚えのある二つの影を見つけて、康二と佐久間が我先に、と駆け出す。やれやれ、と見守っていた四人だったが、近づくにつれて空気の異様さに表情が消える。何か話していたらしい康二と佐久間の顔からも笑顔が消えたのを見て、思わず駆けだした。
亮｢っふっか！照！どうしたの？！｣
辰｢…っ、ぁ、りょうへい、ラウが、ラウが…っ！｣
呆然と立ち尽くす照と辰哉に声をかけると、数秒間を開けて辰哉の震えた声が零れる。ラウ？と聞き返すと、やっと我に返ったらしい照が辰哉の背を撫ぜながら、六人に告げた。
照｢…ラウールが、消えた。｣
少し冷えた風がひゅうっ、と音を立てた｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 692人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あゆ(プロフ) - 定期的に読み直しさせて頂いてるのですが、めめこじが好きなので橙玉ト虚空ノ暗黒の続きも楽しみにしています！無理のない範囲でいつか更新して下さったら嬉しいです。 (2021年10月23日 11時) (
レス) @page14 id: 6ef3ec4d5d (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - あゆさん» あゆさん、コメントありがとうございます！読み返して頂けるだけでもありがたいのに、定期的になんて…作者冥利につきます！これからもどうぞよろしくお願いします！ (2021年10月8日 7時) (レス) id: bc0aa38375 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - ユウさん» ユウさん、コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです…！ゆっくりですが、楽しみにしていただけるのなら頑張りますね！ (2021年10月8日 7時) (レス) id: bc0aa38375 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - 千夜さん» 千夜さん、コメントありがとうございます！待ってていただけたなんて嬉しい限りです…！少しずつですが更新するので、よろしくお願いします！ (2021年10月8日 7時) (レス) id: bc0aa38375 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - 定期的に読み返していたので更新嬉しいです！一気にでも1話ずつでも、無理のないペースでの更新お待ちしております〜！ (2021年10月8日 1時) (レス) @page15 id: 6ef3ec4d5d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：莉月 | 作成日時：2021年3月7日 9時
