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涼｢…で、片付けがてら近くにあったここに立ち寄ったら、照の小刀が落ちてた、と。｣
呟いた涼太が、何事かを考え込む。ひどく焦った様子で帰ってきた亮平と康二、蓮から、照の大切にしている小刀が、何故か廃墟の寺院に落ちていた、という報告を聞いて、行くと言って聞かなかったラウールも含めた全員が、古ぼけた寺院に集まっていた。
亮｢照、これ凄い大事にしてくれてたから、たまたま落とす、なんて事は考えづらいでしょ。それに、家から出る用事も無いのに出かける、っていうのもらしくないし、その行き先が御神体の加護が働いてる此処、っていうのも腑に落ちないし…｣
亮平が口にした考察に、確かに、と皆が頷く。
と、一人、七人の輪からはずれ、しゃがみこんで何かを探っていた佐久間が、すん、と空気を吸って目を細めた。
佐｢…なんか気になると思ったら、やっぱりか。｣
そう言って目を閉じ、空気を肺いっぱいに吸い込んだ佐久間に、康二が｢佐久間くん？どしたん？｣と声を掛ける。やや桃色がかった紅色をゆっくり開くと、何時に無く低い声で、一言。
佐｢…照の匂いだ。血の匂いと、…阿部ちゃんみたいな、森の匂い。｣
辰哉は開いていた口をぎり、と噛み締めた。
落ちていた小刀、血の匂い、そして、確実に此処に照が居たと言う証拠になりうる、照の匂い。考えたくは無いが、嫌な想像が頭を過る。
亮｢…っ、まさか、｣
佐｢多分だけど、此処に居たのは照と、…烏天狗の連中だ。｣
康｢何で照にぃと烏天狗が一緒に居るん？其れに、血の匂いって…？｣
翔｢…ちっ、何が起きたか判断するには材料少なすぎんな…｣
辰｢…でも、殆ど確実に照の失踪には関わってる、ってことだよな？｣
蓮｢状況証拠が少なすぎるけど、多分そう。…ただ、妖術がお互い使えない状態で照くんが簡単に誘拐されるとは考えづらいんだけど…｣
ラウ｢…ねぇ、辰哉にぃ、これ何？｣
不意に辰哉の裾がくんっ、と引かれる。視線を下ろすと、不思議そうな顔をしたラウールがこちらを見上げていた。その手には、黒々とした羽。
涼｢羽、か…兎に角、なにかの事情は知ってるだろうし、『聞きに行こうか、照の居場所を』。｣
真っ黒な羽を優しく掴むと、涼太がそう呟く。刹那、涼太の目が紅に光る。すると、羽が強く光って焔に包まれる。その儘手を離れ、ふわりと動き始めた。
その焔に照らされる妖達と辰哉の目は、不気味なほど紅色に光っていた。
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あゆ(プロフ) - 定期的に読み直しさせて頂いてるのですが、めめこじが好きなので橙玉ト虚空ノ暗黒の続きも楽しみにしています！無理のない範囲でいつか更新して下さったら嬉しいです。 (2021年10月23日 11時) (
レス) @page14 id: 6ef3ec4d5d (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - あゆさん» あゆさん、コメントありがとうございます！読み返して頂けるだけでもありがたいのに、定期的になんて…作者冥利につきます！これからもどうぞよろしくお願いします！ (2021年10月8日 7時) (レス) id: bc0aa38375 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - ユウさん» ユウさん、コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです…！ゆっくりですが、楽しみにしていただけるのなら頑張りますね！ (2021年10月8日 7時) (レス) id: bc0aa38375 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - 千夜さん» 千夜さん、コメントありがとうございます！待ってていただけたなんて嬉しい限りです…！少しずつですが更新するので、よろしくお願いします！ (2021年10月8日 7時) (レス) id: bc0aa38375 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - 定期的に読み返していたので更新嬉しいです！一気にでも1話ずつでも、無理のないペースでの更新お待ちしております〜！ (2021年10月8日 1時) (レス) @page15 id: 6ef3ec4d5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉月 | 作成日時：2021年3月7日 9時
