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康「息子さんに届け物？？」
怪訝そうな声を上げた康二の眉間にきゅ、とシワが寄る。静かに聞いていた蓮も、思わず少し目を見開いた。
「そうなのよ…うちの子、街で商売をやる、って言って出ていったんだけれどねぇ、なんだか良くないみたいで、お母さんのご飯が食べたい、お守りが恋しい、って、この間文が届いたのよ。」
蓮「お守り…？」
「私が作ってやったこれの事さね…あの子、たいそう喜んで随分長いこと身につけてたのよ。だから、心細いんじゃないか、って思ってなぁ…」
懐から取り出したのは、着物の切れ端で作ったのか、少し豪奢な布でできた小さな小さな巾着。中にはどうやら、なにか入っているらしかった。
康「…それで、俺らにそれを届けて欲しい、ってことでええんやね？」
「お願いできるかい…？いや、息子の方から、辰哉さんとこの若衆なら頼りになる、彼処の誰かに頼むといいよ、って聞いてたもんだからねぇ、」
蓮「…？」
康「全然ええよ！むしろ任せとき！んで、息子さん、どこに住んではるの？」
「それが、私もようわからんくてね…地図を貰ってるんだが、あんたら地図は読めるかい？」
康「俺は大丈夫やで！」
蓮「…おい、今遠回しに馬鹿にしたろ、」
「すまないねぇ、本当は私が行ければ良かったんだけれど…なんせあちこちガタがきてるもんでね、お願いしますよ、」
康「任せといてや！トヨさんの気持ちも、ちゃあんと伝えとくからな！」
「ありがとうねぇ…今持ち合わせがないんじゃ、また薬を取りに来るから、その時でいいかい？？」
蓮「大丈夫です、ふっかさんに伝えときますね。」
「ほんに優しい子らだねぇ…どうか、よろしくねぇ」
康「はーい！帰り道気をつけてなぁ〜…」
頭を下げ、戸をくぐっていく老婆が見えなくなると、2人は顔を見合せた。
康「ふぅ〜…よし、やっと俺にも出番が回ってきたなぁ！」
蓮「…なぁ、なんかおかしくないか。」
康「…何がや？」
蓮「わかんねぇ、けど…嫌な予感がする。」
康「なんやそれ、…まぁええわ、行こ！」
蓮「…やめとこうぜ、」
康「え〜…なんなん、大丈夫やって！」
いつになく真剣な顔で説得する蓮をいなすと、康二は出かける準備を始める。
不穏な足音が、徐々に近づいていることに気づきかけているのは、蓮だけだった。
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あゆ(プロフ) - 定期的に読み直しさせて頂いてるのですが、めめこじが好きなので橙玉ト虚空ノ暗黒の続きも楽しみにしています！無理のない範囲でいつか更新して下さったら嬉しいです。 (2021年10月23日 11時) (
レス) @page14 id: 6ef3ec4d5d (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - あゆさん» あゆさん、コメントありがとうございます！読み返して頂けるだけでもありがたいのに、定期的になんて…作者冥利につきます！これからもどうぞよろしくお願いします！ (2021年10月8日 7時) (レス) id: bc0aa38375 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - ユウさん» ユウさん、コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです…！ゆっくりですが、楽しみにしていただけるのなら頑張りますね！ (2021年10月8日 7時) (レス) id: bc0aa38375 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - 千夜さん» 千夜さん、コメントありがとうございます！待ってていただけたなんて嬉しい限りです…！少しずつですが更新するので、よろしくお願いします！ (2021年10月8日 7時) (レス) id: bc0aa38375 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - 定期的に読み返していたので更新嬉しいです！一気にでも1話ずつでも、無理のないペースでの更新お待ちしております〜！ (2021年10月8日 1時) (レス) @page15 id: 6ef3ec4d5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉月 | 作成日時：2021年3月7日 9時
