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亮「辰哉!ねぇ!起きて!辰哉!」
佐「落ち着いて阿部ちゃん!大丈夫だから!」

最早半狂乱の体で辰哉の体を揺する亮平を、佐久間が後ろから抱き締める。照と涼太も駆け寄ってきた。

照「ふっか!…此の傷、噛み傷かよ…!くっそ、もしかして、咬まれたか?」
亮「どうしよう、辰哉が、辰哉が…っ!」

足元を濡らす紅い水溜まりは広がる一方だった。脇腹には大きな穴が開いていた。

涼「落ち着いて、亮平。大丈夫、まだ息はある。早く止血して、傷口を塞がないと…此の中で回復の妖術を使えるのは亮平だけでしょ。早く救ってあげよう。」

落ち着いた紅い目で涼太に語りかけられて、まだ青ざめた顔の亮平は、其れでも必死に息を落ち着かせて、片手を伸ばして目を閉じる。震えたままの手を、佐久間が黙って握りしめた。

亮「『天の巫女よ、其の微笑みで生命の糸を紡ぎたまえ』…っ、お願い…!」

妖には効かない此の妖術を使うのは本当に久し振りで、上手く行くのかどうかすらも不安でしょうがない。繋がれた佐久間の手を、痛いほどに握りしめた。

薄く張っていた緑色の霧が晴れると、小さくなった傷跡が破れた着流しの間から覗く。力が抜けてへたりこんだ亮平の目に、傷跡の周りを這う毒々しい紫色が飛び込んできて、喉がひゅっ、と変な音をたてた。

亮「っ何、これ…!照、ふっかの脇腹に…!」
照「っ此れ、まさか…!」
涼「…毒の、呪術…!」

照が着流しを捲ると、辰哉の白い脇腹に、紫色の蛇のような紋様が浮き出していた。

照「っ彼奴呪術とか使えたのかよ…っ!」

涼「一応、妖だし、出来ても不思議じゃないけど…」

佐「っでも、呪術なら今どうしようもなくない?!」

照「取り敢えず帰ろう…ふっか、熱上がってきてる。」

荒く息をついて普段白い肌を僅かに赤くしている辰哉を、照が背負う。
亮平が俯いて呆然としているのを見て、佐久間と涼太は目を合わせると、亮平を立ち上がらせて背中を思いっきり叩いた。

亮「っいっ…」
涼「…亮平、落ち込むのはわかるけど、誰のせいでもないでしょ?」
佐「そーでやんす!ほら、帰ろ?元気がないと阿部ちゃんらしくないよ?…帰って、ふっかに小言言ってやりなって!」

何時も通りの笑顔を浮かべて手を伸べる佐久間に、力強く引かれる。隣で黙って微笑む涼太も着物についた土を払って亮平の手を引いた。


ーーーー作者失礼します
長くなるのと、何故か保存できないバグに襲われているので途中ですが投稿します…ごめんなさい!

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莉月(プロフ) - 優さん» こちらこそリクエストありがとうございました!楽しんでいただけていたら幸いです。これからもよろしくお願いします! (2021年1月27日 7時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - お話書いて頂きありがとうございました!これからもお話楽しみにしています! (2021年1月26日 21時) (レス) id: a7e52b77bc (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - リクエストはここで締め切らせていただきます!リクエストしていただいた皆様、ありがとうございました!お話になるまで、少々お待ちください。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - さのちゃんさん» 最後の一枠なので大丈夫ですよー!リクエストありがとうございます。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
さのちゃん(プロフ) - まだリクエスト大丈夫でしょうか?橙くんが怪我して敵に捕まって黒くんがすごく怒るお話を読みたいです。よろしくお願いします! (2021年1月5日 21時) (レス) id: f84afddcf2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:莉月 | 作成日時:2020年5月30日 12時

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