其ノ四 邂逅、妖『天狗』 ページ25
白く白く…新緑すらも掻き消すように光った世界に、妖達も思わず目を閉じる。9人を飲み込んだ光が少し落ち着いた頃合いで、しばしばと目を瞬きながら目を開くと、其処には、
照「っ！！お前…！」
？「…全く、態々呼び出しおって。我に如何用だ、下界の民共よ…否、人間は一人か、見覚えがあるということは…貴様らも我と同じ化物､と云う訳だな。」
蓮「天狗…！」
長身である蓮や照をも遥かに凌ぐであろう身の丈を、古ぼけた着物が包んでいる。高下駄の上からこちらを見下ろす目は冷たい。少し身動ぎする度に、羽織物の鴉の濡れ羽根がひらりと舞った。
其の顔は、言わずと知れた赤紅色。長い鼻は、此方をただ向いている。しゃがれた声は、それでいて若くも聞こえる、不思議な声色だった。
辰「…！お前が…！子供たちはどこにやった！」
天狗「はっ、人聞きの悪い…初対面で我を人攫いと申すか。礼儀とやらを教えてやらねばならぬらしいな！｣
天狗が手に持った扇を一閃すると、血のように赤い小さな矢が放たれる。それを難なく避けた妖達は、それぞれの得物を握りしめた。
翔「っ！此奴…」
天狗「避けたか…まぁ良い。して、我に何の用だ。」
亮平「…あんたが攫った子供たちを助けに来た。」
天狗「はっ！ほざけ、何故我がそんな事をせねばならぬのだ。理由も無しに疑って掛かるとは…一思いに殺されたいか、烏天狗よ。」
涼「
真っ直ぐ天狗を睨みつけ、低い声で告げた宮舘の目は既に爛々と赤黒く光っている。直ぐにでも変化できるよう構えた妖達を見て、天狗はふんっ、と鼻を鳴らした。
天狗「…成程、考え無しに来た阿呆共では無いという訳か。」
康「…で？どうなん、認めるなら早い方がええと思うで。」
蓮「とは言っても、どっちにしろ手加減なんてする気ないけど。」
天狗「…面白い、これだから下民は…」
「そうだ、子供を攫ったのはこの我だ。…と、言ったら？」
天狗が気味の悪い笑みを浮かべて告げたその言葉に、妖達が纏っていた空気が変わる。
天狗「はっ、下界に棲みつく惰弱な物の怪共が我に楯突くとは…面白い！来るなら来てみろ、塵にしてくれようぞ。」
照「その言葉、後で後悔すんじゃねぇぞ…！」
赤い切れ長の目をキッ、と細めた照は、迷わず手の甲に歯を突き立てた。
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莉月(プロフ) - 優さん» こちらこそリクエストありがとうございました！楽しんでいただけていたら幸いです。これからもよろしくお願いします！ (2021年1月27日 7時) (
レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - お話書いて頂きありがとうございました！これからもお話楽しみにしています！ (2021年1月26日 21時) (レス) id: a7e52b77bc (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - リクエストはここで締め切らせていただきます！リクエストしていただいた皆様、ありがとうございました！お話になるまで、少々お待ちください。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - さのちゃんさん» 最後の一枠なので大丈夫ですよー！リクエストありがとうございます。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
さのちゃん(プロフ) - まだリクエスト大丈夫でしょうか？橙くんが怪我して敵に捕まって黒くんがすごく怒るお話を読みたいです。よろしくお願いします！ (2021年1月5日 21時) (レス) id: f84afddcf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉月 | 作成日時：2020年5月30日 12時
