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「…大丈夫?立てます?」
何時の間にか二人とも腰を抜かしてしまっていたらしいラウールと辰哉に手を貸すと、紅蓮色はにこりと微笑んだ。
「…あの、ひとつ聞いておきたいんだけど。二人とも照とか佐久間とか目黒の仲間なの?」
「そーだけど。あ、俺、竜神の末裔で翔太っていうから。まぁ宜しく。…あ、苗字は…渡辺。あんまこっちで呼んでる奴、いないけど。」
「俺は…まぁ見たら分かるか。妖狐の、宮舘涼太って言います。ご主人の話はある程度三人から聞いてるんだけど…」
俺らのこと、何処まで聞いてる?と尋ねる涼太の声に辰哉は首を傾げる。考え込み始めた辰哉を見ながら、翔太はなぁー、と上を見上げた。
「帰りながら話そーぜー。もう大分遅いし、後ろの其奴寝かけてるし。歩きながらの方が良いだろ。」
「…ほんとだ、ラウうとうとしてる…でも俺、ここが何処か分かってないんだけど。…宮舘さ…呼びづらいから舘さんでいい?…ありがと、俺の事も好きに呼んでくれていいから…舘さんと翔太は帰り道分かるの?」
「うん。ここの袋小路、さっきの青坊主が『創り出した』空間っていうか…分かりやすく言うと、彼方の世界と此方の世界の狭間になりかけてただけだから。こうすれば元の道に戻るよ、」
指をぱちりと鳴らすと、目の前の垣根が霧のように掻き消える。目の前には、見覚えのある道が広がっていた。更には、拳大の小さな狐火が行先を照らしている。
「行灯無いし、狐火で我慢してもらっていい?…で、話の続きだけど。」
「あぁ、…俺が知ってるのは、皆が妖でここら辺を護ってる、っていうのと、普段は人の姿してる、っていうのと…俺が皆と契約した、ってことくらい。」
「はぁ?!彼奴らまじで殆ど説明してねぇのかよ!」
「確かに…それだと、全体の二割位しか話せてないね。」
呆れた様子の翔太が首を振るのを見て、そう言えば翔太は何故目が青いのだろう、と疑問が浮かぶ。記憶にある限り、ラウール以外の妖は皆赤黒かったり、紅蓮色の瞳だった筈なのだが。
「えーっと…まず、前提として。元々妖、って言うのは此方の世界の住人じゃ無いんだよ。もう一つの、所謂隠世が、元々居た世界。ていうか、俺たちは一度死んで、妖の一族に生まれ変わった奴が殆どなんだけど。」
「俺らは、向こうに居るのが色々と面倒になって此方に来たって訳。んで、大分昔からこの辺に住んでたんだけど。」
最近、どうも様子がおかしかったんだ、
翔太はちらりと、ラウールを見た。
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莉月(プロフ) - 優さん» こちらこそリクエストありがとうございました!楽しんでいただけていたら幸いです。これからもよろしくお願いします! (2021年1月27日 7時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - お話書いて頂きありがとうございました!これからもお話楽しみにしています! (2021年1月26日 21時) (レス) id: a7e52b77bc (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - リクエストはここで締め切らせていただきます!リクエストしていただいた皆様、ありがとうございました!お話になるまで、少々お待ちください。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - さのちゃんさん» 最後の一枠なので大丈夫ですよー!リクエストありがとうございます。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
さのちゃん(プロフ) - まだリクエスト大丈夫でしょうか?橙くんが怪我して敵に捕まって黒くんがすごく怒るお話を読みたいです。よろしくお願いします! (2021年1月5日 21時) (レス) id: f84afddcf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:莉月 | 作成日時:2020年5月30日 12時