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｢っ袋、小路…？こんな所、前まであったっけ？｣
幾ら薄暗いとはいえ、歩き慣れた村の道。目の前にそびえる見覚えの無い垣根に辰哉の脳はぐるぐると回る。…昨日までは無かったはず、なのだけど。
立ちはだかる其れに歯噛みしていると、角からぬらり、と青緑色が姿を現す。人の目玉を幾つ集めたのだろう、と言える大きさの目玉が哀れな獲物を嘲笑う様に歪んでいた。
｢っ…！ラウ、隠れてて。絶対動かないでよ。｣
咄嗟に小さな体を後ろへ庇うように隠して、目の前の化け物を睨みつける。怯えたようにぎゅっ、と握られた着流しの袖に、拳をゆっくりと握った。其れでも、足は少し震え出す。
｢ぁ、ぅ、しぃ、｣
｢っ来んな！来んな来んな来んな！っどうしたら、妖の倒し方なんて俺知らないんだけど…！｣
ひたり、ひたりと着実に近付いてくる音に、恐怖がぞわぞわと脚を這う。その青緑色の手が伸ばされた、先で、
｢…狐火乱舞。｣
｢?!っぎぁぁあァやぃぁ！｣
｢!?ひ、火の玉…！｣
突如目の前で光ったのは、御伽草子や瓦版でしか見たことの無い、所謂火の玉。降ってきた其れの後を追うように、白蓮と茜色の衣がふわりと降りて来た。
燃える焔のような紅蓮色の瞳に、恐らく良い生地で出来た着流し。着地した其の人影は、立ち上がるとくるりと顔だけ振り返った。
｢お二人共、お怪我は？…間に合って良かった。｣
｢っあの、えっと…｣
｢嗚呼、自己紹介がまだでしたね。…すいませんが、これを倒したあとでも？少々厄介ですし、それに…｣
｢一寸涼太！先行くなって何度も言って…あれ？お取り込み中？｣
次いで後ろから聞こえた声に思わず垣根を見上げると、その上には細身の青年。眼前の青年とは対照的な薄藍色の瞳が、好奇心を宿して見下ろしていた。
涼し気な空色の着流しは、風にふわりと舞って青藍の裾をゆらゆらと揺蕩わせていた。
｢説明は後で。取り敢えず翔太、手伝って貰える？…康二は？｣
｢あー、多分置いてきたわ。まぁ元々こっち降りんの嫌がってたし。…よっと。って、此奴青坊主？俺此奴嫌いなんだけど〜！｣
後ろを振り向くことも無く、互いの双眸を合わせることすらせずに眼前で会話し始めた二人を呆けた顔で見つめていると、一つ薄藍色がため息をつく。
｢手早く済ませて帰ろーぜ…我、汝と共に歩まんと誓おう、竜神の御加護を。｣
手で印を作って何事か呟くと、宙に突然咆哮が響いた。
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莉月(プロフ) - 優さん» こちらこそリクエストありがとうございました！楽しんでいただけていたら幸いです。これからもよろしくお願いします！ (2021年1月27日 7時) (
レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - お話書いて頂きありがとうございました！これからもお話楽しみにしています！ (2021年1月26日 21時) (レス) id: a7e52b77bc (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - リクエストはここで締め切らせていただきます！リクエストしていただいた皆様、ありがとうございました！お話になるまで、少々お待ちください。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - さのちゃんさん» 最後の一枠なので大丈夫ですよー！リクエストありがとうございます。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
さのちゃん(プロフ) - まだリクエスト大丈夫でしょうか？橙くんが怪我して敵に捕まって黒くんがすごく怒るお話を読みたいです。よろしくお願いします！ (2021年1月5日 21時) (レス) id: f84afddcf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉月 | 作成日時：2020年5月30日 12時
