【ヒプマイ】山田四兄弟【男主】

お弁当 ページ15

朝からいつも通りのルーティンワークをこなし、今はお弁当を作っていた。今日は有栖川さんと会う予定なのでお昼ご飯用に二つ分。
有栖川さんとは人に触れられるようになる練習のために兄弟と過ごす休日以外の毎日会うことになっている。
有栖川さんに会ったら昼ご飯を絶対たかられるだろうし、それに毎日外食ができるほど俺はお金を持っていない。

出来上がったお弁当を持ち、いつもの長袖パーカーを着こんで出かける。


昨日と同じ公園に向かい有栖川さんを見つける。

「こんにちは。」

「おっ、やっときたかA。もう昼だし食べ行こうぜ今日は俺の奢りでな。」

「っえ、今なんて言いましたか。」
思いがけない発言にはっきり聞き取れてはいたが聞き返してしまう。

「昨日あの後賭場で勝ったんだ。だから今日は飯を食う分のお金がしっかりあるぜ。」

「いや、あの俺、飯作ってきちゃいました。」
有栖川さんの目の前にお弁当を出しておずおずと言う。

「まじか！お前男なのにご飯作れんの！すげえな！」

「そうですね、平日の昼は自分で作ってるんで。」
すごいと驚いてくれる有栖川さん。俺も褒めてくれるのは嬉しいので気を良くする。昨日座ったあのベンチに行きじゃじゃーんとお弁当を広げる。有栖川さんはそれに合わせておお、と反応をくれる。

「おお…！………お前これは？」

「ご飯に卵焼きに、唐揚げ。」
それから、と続ける俺に有栖川さんは深呼吸をした。さっきから何をしたいかわからない有栖川さんに言いたいことがあるならはっきり言えよと思う。

「…うん、うん。お前料理下手くそだな。」

「…はあ！？作ってきてあげた人にそんなこと言いますか？食べてもないのにそんなことわからないじゃないですか。」

「いや、これは食べなくてもわかる。見ろ、卵焼きって普通黄色だろ、真っ茶色じゃないか。」

「それは醤油で味付けしたからです！味付けが違うなら色だって違うでしょう！」

「ならこっちの唐揚げがピンク色なのはなんでだ！それにこっちの真っ黒なのはもう何か分からない！」

「ふん！あんたどうせご飯作ったことないでしょう。だからそんなこと言うんですよ。俺が作る料理は普通です。下手くそなんかじゃないです！」
大きな声で言い合いをして切れた息を一旦ととのえる。


「そんなに言うなら有栖川さんのぶんはいらないですよね！」

「いや食べる！出されたものはどんなものであろうとも食べるのが有栖川帝統だ。」
言い合いは終わることなく続いた。

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