一輪のアスフォデルを３ (ページ44)

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二匹は嚙みつき合い、引っ掻きあう。

時々聞こえる、「キャウンッ」が本当に痛そうだ。

ハーマイオニー「シリウス！ロディアーナ先生！」

シリウスはロディアーナよりも一回り大きかった。

ロディアーナの白い毛が、だんだんと血に染まっていく。

ロン「あっ」

すると、二人の喧嘩を止めるように、ヒッポグリフが二匹を剥がそうとする。

シリウスはハリー達の方へと飛ばされ、ロディアーナは外の方へと飛ばされた。

そしてロディアーナはそのまま、雪山の方へと走って行った。

シリウスが元の姿に戻る。

腕や顔にいくつか傷ができていた。

ハーマイオニー「先生は大丈夫なのかしら？」

シリウス「...こんな喧嘩をしたのはもう数年ぶりだ...やり過ぎた...」

ロン「でも互角って感じだったろ？シリウスがそんなに怪我をしてないっていうことは...」

ハーマイオニー「あなたロディアーナ先生をちゃんと見なかったの？」

シリウス「ロン、仮に犬でも雌と雄だ。力の差は充分にある」

シリウスはため息をつきながら、岩の上に座った。

ハリー「大丈夫？」

シリウス「あぁ、すまない」

ハーマイオニー「...でも、ロディアーナ先生も珍しいわね。いつもは笑って過ごすのに...最近ずっと疲れてる顔してる」

シリウス「魔法省に何度も呼び出されているんだ」

ハリー「なんで？」

シリウス「奴らはヴォルデモートの復活の報告を国民からなるべく遠ざけている」

ロン「それ僕も新聞見て思ったよ」

シリウス「ロディアーナは教師になる前、闇払いとして死喰い人に潜入していた。だからだよ」

ハーマイオニー「どういうこと？」

シリウス「死喰い人が今、全く見つけられない。魔法省はなんとかして国民からの信頼を維持するために成果を得なくてはならない」

ハーマイオニー「まさかロディアーナ先生が実は魔法省の裏切り者で死喰い人だったっていうこと！？」

シリウス「死喰い人は私たちがホグワーツにいた時、同年代や先輩、後輩だった者が多いんだ。過去にロディアーナは後輩であるクラウチ氏の息子に気付けなかったこともある。彼らにとってはわざとだと思いたいんだろう」

ロン「でもたったの一人だけだろう？」

シリウス「それだったらいいんだがな。ある元死喰い人の裁判中でロディアーナの名前が出たんだ。奴は『彼女は闇の帝王様からは厚い信用をされているうえ、他の死喰い人よりも残酷で冷酷な者であった』と」

三人は何も言えなかった。