一輪のアスフォデルを (ページ28)

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真っ白な花に埋め尽くされた地面に、ひとつの墓石がポツリと置かれていた。

ロディアーナは花束をその前に置き、深呼吸をした。

『ベテルギウス・スネイプここに眠る」

ロディアーナは、震える指で、石に刻まれた文字をなぞった。

ファッジ「...お邪魔だったろうか、ロディアーナ」

ロディアーナの背後に、ファッジ大臣が立っていた。

ロディアーナの肩が跳ねる。

ロディアーナ「これはこれは、大臣...いえ、お邪魔ではありませんよ。どうぞ、この子にお花を手向けてあげてください」

ファッジの手には、白い花束。

ロディアーナはファッジが花を置く姿をじっと見つめた。

ファッジ「君の、旦那さんは今年も来ないのかね？」

ロディアーナ「来ませんよ。彼にとっては望まない子供だったんです」

ファッジは眉を下げた。

ロディアーナ「ブラックはお元気ですか？」

ファッジ「...そのことで、君に頼みたいことがあるのだ」

ロディアーナ「？」

ファッジはあたりを見回し、声を低くした。

ファッジ「最近、彼がおかしくてな...寝言が...なんだ...」

ロディアーナ「まさか、彼がハリーを狙ってるとでも？」

ファッジ「彼にはハリーを殺す動機がある」

ロディアーナ「でも」

ファッジ「ロディアーナ、君もよく知っておるだろう、彼は頭のおかしい殺人鬼だということを」

ファッジの表情が強張った。

ファッジ「君の...いとこである君の子供を殺すほどだ。奴は、幼いころからの親友を殺すほどだ...」

ロディアーナ「それで、頼みたいこととは？」

ファッジ「そう、まずはそれだ。だがその代わり、ホグワーツの教師を何年か休むことになるぞ...」

ロディアーナ「どういうことですか？」

ファッジ「あれから何年も経つ。それなのに奴の口から出るのは発狂しかない。両親は亡くなり、彼の弟も十代で亡くなってしまった」

ロディアーナ「...」

ファッジ「君は四人姉妹だ。だが長女は捕まり、次女は死んでしまった。三人目はマルフォイ家の一人。気安く頼むことができるのは君しかいないんだ」

ロディアーナ「嬉しいような、嬉しくないような...」

ファッジ「君には彼の精神安定剤となってほしい。できるかな？」

ロディアーナは迷ったが、とうとう頷いてしまった。