第二十一篇 灯火 ページ21
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フリイダムの前に着く。
『皆っ!無事……』
息を荒げながら扉を開けた徳富は目を見開いた。
店主が、息絶えている。
『……っ!』
徳富は外に出ると、階段を駆け上がった。
子供達の部屋の扉を開ける。
其処には、泣く子供達と、其れを無理矢理抱えている兵士達が居た。
兵士は徳富に気が付くと、徳富に向けて銃を撃った。
慌てて其れを避ける。
「蘆花姉!!助けてっ……、」
咲楽が叫んだ。
兵士は「五月蝿い!」と云って咲楽の頭を殴る。
『あ、……』
その瞬間、徳富の中の何かがぷちんと千切れる音がした。
其処からは一瞬だった。
『皆、目閉じてて』
徳富が云うと、何時の間にか兵士の手から銃が消える。
「!?何っ……」
云い終わる間も無く兵士の頭を銃弾が貫く。
震える咲楽を抱き抱え、他の兵士にも銃を撃った。
「グハァッ!!」
周りの兵士が全員倒れる。
最期の抵抗として兵士が撃った銃弾は、徳富の頬を掠めた。
既に気を失っている真嗣が息絶えた兵士の腕から落ちる。
其れをキャッチして、徳富は他の子供達に駆け寄った。
『皆、大丈夫!?弾当たってない!?』
「蘆花、姉……」
安堵したのも束の間。
徳富は子供達を見渡して息を呑んだ。
………一人、足りない。
徳富は窓の外を見た。
幸介が車に乗せられている。
『……幸介!!』
窓から飛び降りる。
車の外に居た兵士を撃ち、車に駆け寄った。
車内で窓硝子を泣きながら叩く幸介。
『っ……、外から開かない……!!』
車には鍵が掛かっている様で、ドアが開かなかった。
徳富はドアから離れると運転席の窓ガラスに向けて発砲した。そして割れた所から車内に入る。
硝子の破片が掌に刺さったが、痛みを感じなかった。
『幸介っ!!』
「蘆花姉っ、……」
すると、車の奥に目が吸い寄せられた。
ピッ、ピッ、と無機質に鳴る電子音。
爆弾。
倒れている兵士が、口角を上げた。
徳富が其れに気付き幸介を抱き締めるのと、兵士が手元の釦を押すのは同時だった。
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こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» 仕方ねぇ続けるべ☆いぇい☆ (2022年12月22日 14時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» 辞めたら………いやなんもしないけどほら。私はさ。プリ小説やってるし?私の思いもこめさんに継いでもらうって決めてたし((((((((殴 (2022年12月22日 14時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» うぅ〜……私も最近占ツクしんどくなってきたし辞めちゃおっかな… (2022年12月21日 3時) (レス) id: 3c5b67e3ca (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» まじだよ (2022年12月20日 18時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» マジかよ…… (2022年12月20日 11時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめこめコメダ | 作成日時:2022年11月5日 19時