第十七篇 長 ページ17
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其処には、芥川を抱えた織田が立っていた。
服には銃痕が幾つもある。
徳富が顔を真っ青にして叫んだ。
『撃たれたの!?し、しかも四発も……今すぐ、し、寝台に!!』
おろおろと慌てて救急箱から包帯やら薬やらを取り出し始めた徳富に、織田が云った。
「違う、防弾チョッキだ。其れより芥川を治療してやってくれ。足を撃たれてる」
「馬鹿だなぁ、蘆花は。本当に四発も腹を撃たれたのならまず歩けない」
『あっ、防弾チョッキ……いやいやいや其れにしたってめっちゃ痛いでしょ!』
「嗚呼、結構痛かった」
織田が芥川を寝台に寝かせた。
芥川は、顔を青白くして気を失っている。
ホトトギスが芥川の顔に止まり、首を傾げて不思議そうに眺めた。
「芥川君は結局駄目だったんだねぇ」
『コラ太宰』
部下を咎める太宰を窘めながら、徳富は止血帯を芥川の足に巻き付けた。
とめどなく流れていた血の勢いが少し収まる。
『暫くは此の儘』
「……ミミックの長に会った。名はジイドと云うらしい」
「へぇ。よく無傷で帰って来れたね」
「チョッキのお陰だ。……ジイドは、死に値する場所を探す為に戦場を求めているそうだ。俺が殺すのを断ったら、奴は車で去って行った。異能は俺と同じ、未来予知能力だ」
『織田作と同じ……!?』
「敵の首領に会うなり熱烈な求愛を受けるなんて災難だったねぇ」
太宰が微笑みながら云った。
「変な奴らだ」
「そうかい?死に方に工夫を凝らしたいなんて、私には無い発想だよ」
『いや、普通無い発想だから。アンタだけじゃない』
ツッコミを入れた後、徳富は太宰に問い掛ける。
『ねぇ、此の抗争は何時まで続くの?』
「ミミックの兵は兎も角、指揮官の異能が厄介だね。奇襲が効かない。……となると、内部情報が必要だ。心当たりはあるかい?」
「………安吾しか居ない」
「私も同意見だね」
太宰が頷く。
「安吾を探す方法は無い物かな」
『……あるよ』
「あるのか?」
『彼処しか、無いでしょう』
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こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» 仕方ねぇ続けるべ☆いぇい☆ (2022年12月22日 14時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» 辞めたら………いやなんもしないけどほら。私はさ。プリ小説やってるし?私の思いもこめさんに継いでもらうって決めてたし((((((((殴 (2022年12月22日 14時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» うぅ〜……私も最近占ツクしんどくなってきたし辞めちゃおっかな… (2022年12月21日 3時) (レス) id: 3c5b67e3ca (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» まじだよ (2022年12月20日 18時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» マジかよ…… (2022年12月20日 11時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめこめコメダ | 作成日時:2022年11月5日 19時