第六篇 待ち伏せ ページ6
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路地裏でナイフを向けてきた狙撃手の足元に、
織田は二発発泡した。
すると、耳の横擦れ擦れに後ろから一発銃弾が飛んでくる。
弾で焼き切れた髪がはらはらと落ちた。
(逃げずに待ち伏せ?狙いはこの金庫か……)
「織田作、屈め!!」
「!」
太宰の声が裏路地に響く。
織田が屈んだ瞬間、投げられた閃光弾が弾けた。
そして、大量の銃弾が狙撃手達の体を貫く。
太宰の部下達だ。
「君は全く困った男だなぁ、織田作。君がその気になれば、此奴等なんか一呼吸の間に殺せるだろうに」
太宰が織田に手を差し伸べる。
織田は一つ瞬きをし、太宰の手を取った。
「殺したのか?」
「生け捕りにしても情報は引き出せないからね。何しろ奥歯に仕込んだ毒の味が大好きな連中なんだ」
「……」
「判ってるよ。そういう意味で云ったんじゃないんだろ?けどね……相手は戦闘のプロだ。幾ら君でも殺さないなんて無理だよ」
「嗚呼……お前が来なければ死んでいた」
「織田作之助──何があろうと絶対に人は殺さないという信念を持つ奇妙なポートマフィア。その面倒な信念のせいで、組織内では使い走りの様に扱われる。あれだけの腕を持ちながら」
「その手の苦情はもう何万回も承ってる。其れよりこの襲撃だ。一体何者なんだ」
「其奴の腰を見てみると善い」
太宰は顎をしゃくって拳銃を示した。
「旧式拳銃を下げているだろ?其奴はグラオガイストと云うらしい。古い欧州の拳銃で連射性と制度がお粗末だから、この狭い路地では威嚇くらいしか使い道は無い」
「恐らくこの拳銃は彼等にとって、エンブレムのような物なのだろう。自分たちが何者か示す為の」
太宰がそう云ったその時、先刻まで倒れていた人影がゆらりと立ち上がった。
そして、震える腕で銃を構える。
「……おやおや、大した精神力だね。実際のところ私は君達を敬畏しているのだよ。ここまで正面からポートマフィアにぶつかってくる組織は無かった」
「……!太宰、よせ!」
太宰が敵に近付いて行くのを織田が止めようとするも、
織田の手は空を切った。
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こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» 仕方ねぇ続けるべ☆いぇい☆ (2022年12月22日 14時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» 辞めたら………いやなんもしないけどほら。私はさ。プリ小説やってるし?私の思いもこめさんに継いでもらうって決めてたし((((((((殴 (2022年12月22日 14時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» うぅ〜……私も最近占ツクしんどくなってきたし辞めちゃおっかな… (2022年12月21日 3時) (レス) id: 3c5b67e3ca (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» まじだよ (2022年12月20日 18時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» マジかよ…… (2022年12月20日 11時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめこめコメダ | 作成日時:2022年11月5日 19時