第二十六篇 合理的 ページ26
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「未だ議論の最中だよ、太宰君」
「……ずっと考えていました。ポートマフィアとミミックと黒の特殊部隊……いや、この場合は異能特務課と云うべきですね。この三組織を巡る対立は誰が操っていたのか。この大胆かつ精緻な絵を描いたのは……
首領、貴方だ」
森の目が細められた。
太宰は封筒を手に取る。
「此の黒い封筒には其れだけの価値がある。ポートマフィアがどれだけ強大な力を持っていようとも、政府機関である異能特務課の機嫌を損ね、弾圧される可能性に日々怯えていなければならない───だから貴方はミミックを潰す対価として、此の証書を発行させる取引を持ち掛けた。
異能組織として活動を許可する此の証書……異能開業許可証」
黒い封筒を開け、太宰は森に其れを見せ付けた。
「首領。彼等の密入国を裏で手助けしたのは貴方だ。貴方は異能特務課を焦らせ、重い腰を上げさせる為に態と敵対組織を横浜に招いた」
「……そう。其のお陰でこうして異能開業許可証は手に入り、事実上政府から非合法活動は認可され、厄介な乱暴者は織田君が命を賭して排除してくれている。大金星だよ。なのに君は何をそんなに怒っているのかね?」
「……先ず一つ、織田作が養っていた孤児達の存在をミミックにリークしたのは貴方だ」
「………」
「織田作をミミックの指揮官に唯一抗しうる異能力者として、敵にぶつける為に。其れと、もう一つ……
あの時、何故蘆花を止めなかった?」
「……徳富君の事は非常に残念だ。でも私も予想外だったのだよ。真逆丸腰でミミックに突っ込んで行くなんてね」
「………」
太宰は黙った儘、もう一度其の場を立ち去ろうとした。
だが、森の声が引き止める。
「太宰君。君は此処に居なさい。其れとも────」
カチャリ。
銃がもう一度太宰に向けられる。
「彼の元に行く合理的な理由でもあるのかね?彼の元へ行く利益なんて無いだろうに」
「確かに利益はありません。私が行く理由は一つです。
……彼が友達だからですよ」
太宰は振り返ると、哀し気な笑みを浮かべた。
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こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» 仕方ねぇ続けるべ☆いぇい☆ (2022年12月22日 14時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» 辞めたら………いやなんもしないけどほら。私はさ。プリ小説やってるし?私の思いもこめさんに継いでもらうって決めてたし((((((((殴 (2022年12月22日 14時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» うぅ〜……私も最近占ツクしんどくなってきたし辞めちゃおっかな… (2022年12月21日 3時) (レス) id: 3c5b67e3ca (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» まじだよ (2022年12月20日 18時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» マジかよ…… (2022年12月20日 11時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめこめコメダ | 作成日時:2022年11月5日 19時