王様ゲーム (あかりさま リクエスト) 莉央side ページ5
「なあ、王様ゲームしようぜ」
その言葉にみんなが、はぁ?とでも言いたげな顔をする。
みんなの気持ちはよく分かる。
だって、何で休日の日に集まってまで王様ゲームなの?って私も思うもん。
今日は若武の家に集まっていた。
小塚や彩、上杉は勉強し、窓際では黒木や翼、忍がスマホゲームの対戦をしていて、私はこの家の書斎にあった本を読んでいた。
どこかの有名な作家が書いたミステリーものだったのだが、それがなかなかに面白い本で。
つい本の中の世界に引き込まれてしまい、夢中で読み進めた。
あとちょっとで、本が読み終わる、その時。
することもなくずっと暇そうに寝っ転がっていた若武が立ち上がり、突然冒頭の言葉を言ったのだ。
突然ハッとしたように立ち上がったから、何か大事なことでもあるのかと思ったらあれだ。
「却下。俺はやらねー」
真っ先に断ったのは、やっぱり上杉だった。
上杉はこういう遊びには、あまり参加したがらないよね。
「おお、お前はやらなくていいぞ。みんな、上杉以外でやろうぜ!」
だけど、みんなの反応はイマイチだった。
ゲームをしていた黒木や翼、忍はともかく、小塚や彩、上杉は勉強をしているわけだし、私だって今本の主人公が犯人を追い詰めるいいところなのだ。続きが気になるし、邪魔されたくない。
「何だよ、お前ら。ノリ悪いぞ。やろうぜー、なあ」
まるで子供みたいにねだり始めた若武。
やっぱり、こういうのを見ると若武ってガキだ…
うんざりしながらため息をついて、本に視線を戻そうとしたその時、ちょっと控えめな声が聞こえてきた。
「あの…私、やりたいんだけど…」
「えっ」
その声は、意外にも彩だった。
驚いた。彩も王様ゲームやりたがらないって思ったのに…
驚いたのはみんなも同じなようで、びっくりした様子で彩を見ていた。
「私、王様ゲームなんてやったことなかったから…」
そ、そうなんだ…
彩がやりたいっていうなら…私もやろっかな。
「彩がやるなら私もやる」
「ほらっ、アーヤも莉央もこう言ってるわけだし、みんなやろーぜ!」
「…アーヤにやりたいって言われたら、断れないでしょ」
翼の言葉に、小塚や黒木、忍も頷く。
みんなが次々に同意する中で、後に残ったのは上杉だけだった。
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作者名:心愛 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Yuna101/
作成日時:2017年10月26日 18時