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この声は、間違いなく若武だ。
聞き慣れた声だもん、間違えるはずがない。
「すごい、若武くんだ…」
「上杉くんと黒木くんもいるよ。やっぱりめっちゃかっこいい…!」
「あ、確かあの人社理で有名な小塚くんでしょ」
そんな女子のヒソヒソ声が聞こえてくる。
秀明の外でも知られてるなんて、やっぱりみんなすごいな…
「お、来てくれたんだ」
うさぎ耳をつけた翼の声が聞こえて来る。
「そりゃあ行くだろ!コスプレメイドカフェだなんて言われたらな!」
「そんなのはお前だけだ」
若武にツッこむ声は上杉くんだ。
「すごいね、まさにメイドカフェって感じだ」
「うん、だね…ちょっとなんだか落ち着かないや」
そんな風に話し合う声は、黒木くんと小塚くん。
探偵チームKZの4人が揃って、今ここにいる。
恥ずかしすぎてたまらない。
「おー、若武たちも来ていたのか」
カーテンの隙間から覗いてみれば、そこには私と同じく猫耳をつけた忍が若武たちのところへと近づいて行くところだった。
「美門も七鬼も地味に似合ってるな…」
「そう?クラスの女子が無理やり着せてくるから、仕方なくだけど」
翼と忍は、何気にうさぎ耳と猫耳が似合っているのだ。
おかげで女性客からは大人気、あちこちから黄色い悲鳴が上がっている。
もう翼と忍だけで絶対この店やっていけると思う。
と、そんな時若武の声が私の耳に届く。
「そういえば、アーヤは?」
うっ!
何でそこで私に気づくのよぉ…!
若武を恨みたい一心で、私はカーテンに顔を埋めた。
みんなの前出て接客をするのを想像するだけで、顔から日が出そうなくらい恥ずかしい。
「ああ、アーヤならさっきまで接客してたよ。でも知り合いに見られるのは恥ずかしいんだって」
「何だ?俺たちに見られるのが恥ずかしいって」
「だって七鬼と同じ格好してるんだぜ」
翼っ!
私は叫び出したい気分だった。
恐る恐るカーテンの隙間から見てみると、丁度翼が私の方へ歩み寄ってくるところだった。
「アーヤ」
サッとカーテンが開いて、翼が姿を見せる。
「出ておいでよ。若武たちが来てること、知ってるだろ」
私は嫌だ、と首を横に振り、カーテンを掴んだ。
だって、こんな姿とても見せられないもん!
「若武たちはどうやら、アーヤが接客してくれないと帰らないみたいだよ。
観念して、接客してあげてよ」
嘘でしょ…
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作者名:心愛 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Yuna101/
作成日時:2017年10月26日 18時