KZ＊短編集

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悪戯大作戦ー若武編（あかりさまリクエスト）莉央side ページ16

夏休みのある日。

「莉央っ。今日、俺ん家に14時に集合な！」

若武がいきなり集合の電話をかけてきた。

電話に出るなり、挨拶も何もかもすっ飛ばしてそういうものだから結構驚いたのを覚えている。

挨拶を忘れるほどの何かが起きたのかと思い駆けつけてみると、若武が集合をかけた理由は、みんなで勉強会するためだった。

心配して損した気分だ。

上杉は怒って帰る、とか言い出したけど、いいじゃないかと黒木に止められて渋々残っている。

みんなはテキストやゲームに向かっているけれど、私は手ぶらだったので何もすることがなかった。

もう、暇すぎて暇すぎてたまらなかった。

あんまりにも暇だったので、私は考えたのだ。

若武に悪戯をしてやろうと。←

この中で悪戯ということが大好きそうなのは、ただ1人だけしかいない。

「みーかどくーん」

「何、莉央」

スマホでゲームをしていた翼が顔を上げた。

翼のサラッとした髪が揺れて、わずかに顔にかかる。

…いつも思うんだけどさ、シャンプーの何を使えばそんなサラサラになるのかな？

今度聞いてみよう。

「ねえ、若武に悪戯しない？」

若武に聞こえないように声をひそめる。

「悪戯をするって具体的にはどんなことをするの？」

「まだ考えていないんだけど…なにをするか考えるの」

ふーん…と翼はそう言うと、持っていたスマホをテーブルの上に置く。

「若武に悪戯をすれば、あとで何してくれる？」

「駅前のスイーツ屋さんで、1番高いスイーツを奢ったげる」

「決まりね。やろう」

こうして、私と翼の【若武悪戯大作戦】が始まった。