#2 ページ4
Aside
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薄く開いた目蓋から暖かな光が流れ込む。
死ねなかった。
Aは自分がまだ生きているのだということを重い体から実感した。
「…起きたのか？」
久々に向けられた、人の声。
はっきりと言葉を発したその声は、どこか懐かしさを感じる。
ここはどこだろう、Aはまだ朦朧としている頭で記憶を遡ろうとするが、うまく思い出せない。
そうしているうちに 声 が少しずつ近ずいてくる。
「目が覚めたのか。具合はどうだ？」
そう尋ねられ、朦朧としていた頭が一気に覚醒した。
ここはどこだろう。
この声は誰のものなのだろう。
自分はなぜ生きているのだろう。
次々に上がってくる疑問に混乱していると
バチッ…
目が合った。
力強くて綺麗な、ずっと眺めていたくなる赤と緑。
Aは思わず目の前の2色に見入ってしまった。
「…どうした？俺の顔に何かついてるか？」
視線の先からこえがとんでくる。
ついさっき聞いた声と同じ声だ。
何か言わないと…
でも思うように声が出ない。
A必死に口をパクパクと動かした。
しかし音は掠れて声にはならない。
「声、出ないのか？水飲むか？」
目の前の声はそう尋ねると、ペットボトルを差し出した。
Aはそれを受けとる。
しかし手に力が入らず、キャップがあかない。
「貸してみろ。」
声の主はそう言うと、Aからペットボトルを取り上げた。
そして、キャップを開けたペットボトルをもう一度差し出した。
Aはそれを受け取るとぐぐっと一口飲み込んだ。
それを見た目の前の人物は安心したように笑った。
その2色の目には寂しげな表情を浮かべた自分が映っていた。
『……ここは…どこですか…？』
やっとの思いで声を出す。
その声はしっかりと目の前の人物に届いた。
「ここは俺の家だ。」
答えが返ってくる。
会話なんていつぶりだろう。
『家…』
どう返していいか分からなくなったAはそう呟いた。
「お前、帰る所はあるか？」
帰るとこなんてない。
Aは黙って首を横に振る。
それを見た目の前の人物は一瞬悲しげま表情を浮かべ、そのまま微笑んだ。
「そうか、じゃあここに住まないか？」
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文字数……
【定期】
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作者名：ゆん | 作成日時：2021年1月21日 20時
