薄桜鬼 “光の力”を使う少女9

★第81話★ 道標2 ページ20

歳三:「...どうしても残るのか？」

土方は再度、斎藤に問う。

新選組には今、（人1）も沖田も...更には原田や永倉も居ない。今、斎藤が離れてしまえばこちらの戦力は大きく減ってしまうのだ。

一:「この会津藩には、真の武士の魂が息付いています。武士として、見捨てるわけにはいきません。」

歳三:「『武士として』...か。耳が痛ぇな(苦笑)」

一:「誠の旗は今は武士の拠り所になっています。新選組は武士を導くもの...義の道標です。...土方さんには、その道標を担う義務があると思います。」

歳三:「───...」

土方は、目を大きく見開き...ﾌｯと、鼻で笑った。

歳三:「簡単に言ってくれるじゃねぇか...(苦笑)近藤さんといいお前といい...俺に荷物を背負わせやがる(苦笑)
...ま、近藤さんは危うい所であいつが引き止めてくれたがな...」

一:「...一つ、お願いがあります。」

と、斎藤は椅子から立ち上がると...

一:「会津に残った俺が、“誠”の旗を掲げる事を許可して下さい。武士の魂の拠り所を、武士の魂が根付くこの地に掲げたい。」

歳三:「許すも許さねぇも、“誠”の旗はお前の旗でもあるんだぜ？...お前が新選組であり続ける限りな。」

一:「土方さん...」

歳三:「お前達が俺に託した新選組。必ず最後まで見届けてやるよ。」

一:「...はい。」

斎藤が陣の中から出るのを見た千鶴は...

千鶴「斎藤さん......今まで本当にありがとうございました。」

そういうと、千鶴は頭を下げた。

一:「...土方さんを、頼む。」

千鶴:「大丈夫です。だって土方さんは、殺しても死ぬような人じゃありません。だから...斎藤さんも、死なないで下さいね？」

と、千鶴は別れが辛いけれど...笑顔でそう言った。

一:「あぁ。...新選組の名に掛けてな。...気遣いに感謝を。」

そう言うと、斎藤はその場を去ったのだった。

“会津戦争”が終焉を迎えるのは、千鶴達が会津を発ったひと月後の事だった。

ーー慶応4年9月5日 会津 高久村ーー

ｻﾞｯｻﾞｯｻﾞｯｻﾞ......

敵は斎藤が率いる隊士の数よりも何倍も居た。だが、斎藤は、“誠の旗”を掲げ、愛刀を天にかざし...

一:「新選組 斎藤一！！ 誠の旗に誓ってここから先へは通さん！！」

隊士達:「「「おおおおおおおおお！！」」」

...戦場には銃声や刀がぶつかる音などが轟いたのだった...

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