頼れる男は食えない男1 (冒険家) ページ33
「A、また顔に傷作ったんだね」
「え？…ああ、これぐらい大したことないよ」
ゲームからの帰途、口を開いたのは冒険家のカートだ。
今回のゲームは引き分け、他の2人は序盤で打ち上げられて既に荘園に戻っている頃だろう。
負傷状態でゲートをくぐったAはカートの治療を受けたばかりだった。
「ねぇA。君が僕達を守ろうとしてくれる気持ちはとても嬉しいよ。…でも、僕だって自分の身くらいは守れるんだ。もっと頼ってよ」
眉尻を下げ、寂しそうな顔を浮かべて立ち止まる。カートは感情表現が豊かで表情がよく動く。
カートの表情にちくりと罪悪感が疼いたが、Aも立ち止まりやんわりと返す。
「心配してくれてありがとう。…でも皆を守るのが私の役割だから。」
能力的にAはチェイスや救助向きで、かつ仲間が脱落するほど不利になる。
そして何より身に染み付いた「護衛」の性が、仲間が傷つくことを良しとしなかった。
そんなAの胸中を悟ったのか、更に困った顔してため息をついた後、カートが静かに呟いた。
「んー、強情だねぇ。…しょうがない、ごめんね」
「え？」
何に謝っているのか、とAが問うより前にそれは起こった。
「…あれ？」
Aは何が起きたか、理解するのに数秒を要した。
ほんの一瞬浮遊感があったかと思うと、カートの腕の中に収められていたのだ。
それもただ抱きしめられているのでなく、肘を背中側で九十度に折り曲げ、掌を地面に向けた状態で手首を纏められている。
人体の構造上自力脱出不可能な、相手を無力化する体勢だ。
いまだ混乱しているAが、どうにか今起きたことを脳内で巻き戻してスロー再生し直してみる。
カートは向かい合った状態から左手でAの右肘に、右手で同じく左肩に触れた。
押す、というより撫でるといった方が相応しい程柔らかな力を込めれば、さり気なく添えられていた彼の左足がつっかえ棒となりAはつんのめった。
その身体をカートは自身の胸に向かい入れると同時に、驚きで脱力したAの両腕を掴んで背中側に回して……この一瞬の間に、実に鮮やかな足払いと極め技を極められていたのだ。
確かに油断はしていた。していたが、予め予期した上で対峙していても、確実に避けられたとは言い難い。
信じ難いが間違いない…カートは、護衛を生業としていた自分と互角か、自分以上の体術の持ち主だとAは痛感した。
頼れる男は食えない男2→←【リク�ァ曚修凌牡蕕浪燭砲眤紊┐�たく2
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ドクモ(プロフ) - リクエストでーす！ ツンデレ黒無常さんが素直になるまで焦らしたい願望です！ (2019年5月21日 2時) (
レス) id: 763783cfb5 (このIDを非表示/違反報告)
MH改め蓬莱(プロフ) - 林檎饅頭さん» 林檎饅頭さん、リクエストありがとうございます！折角リクいただいた所大変申し訳ありませんが、今執筆スピードの都合でリクを締め切らせていただいております… 今後再開出来そうでしたら、その時に書かせていただきますね！ (2019年4月7日 0時) (レス) id: a0dc3dcbfc (このIDを非表示/違反報告)
林檎饅頭 - リクエストなんですけど友情で風邪をひいたヴィオレッタちゃんに看病する感じの物語を作って欲しいです。 (2019年4月6日 1時) (レス) id: 19ec5be348 (このIDを非表示/違反報告)
MH改め蓬莱(プロフ) - 夜月レナさん» コメントありがとうございます！上手いこと彼の魅力を出しつつ、甘く出来てるか不安だったのでそう言っていただけて本当に嬉しいです(´ω｀*) (2019年3月23日 14時) (レス) id: a0dc3dcbfc (このIDを非表示/違反報告)
夜月レナ(プロフ) - ｯ...(尊死)。泥棒めっちゃ可愛いっす。最高な作品をありがとうございます...!!なぜ星ボタンが一度しか押せないのか... (2019年3月23日 1時) (レス) id: 0d570b7f47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蓬莱 | 作成日時：2019年2月18日 23時
