煙に巻いたは果たしてどちらか1 (カウボーイ) ページ22
「よう、A」
「あ、カヴィン」
荘園の小さな図書スペースで、Aが日記を書いていた時のこと。
凝り固まった身体を逸らして深呼吸すると、カウボーイのカヴィンがやってきた。
テンガロンハットに西陽を浴びながら歩み寄る姿は、絵の如く様になる。
「油売りに来ただけなんだけどよ、今忙しいか？」
「いや、ちょうど一息つく所だったよ」
そりゃなにより、と呟きながら横並びの隣座席を引いた。
カヴィンは一緒にゲームをした後、決まってこの図書スペースに油を売りにくる。
その日ゲームでむしゃくしゃしたり落ち込んだりしても晴れやかな気持ちになれるこの時間を、Aは密かな楽しみにしていた。
「しっかし、ラグビーボール持って爆走してくるA、面白かったなぁ…くくっ」
「なっ!?なにも笑うことないだろ！警棒は使い切ってたし、たまたま近くにあった箱の中身があれだったんだから…」
ゲーム中は無我夢中だったが、思い出すと少し恥ずかしい。
だが心底可笑しそうに笑う彼の表情を見て嫌な気はしない。
「それだけ必死に助けに来てくれたんだろ、ありがとな。…惚れ直したぜ」
テーブルに肘を付き、Aに身体を向けながら彼お得意の甘い言葉を吐くカヴィンに
「はいはい、相変わらずお上手で」
と慣れた調子でAは軽く返す。
いつもならここで「つれねぇなぁ！」なんて笑い声が返ってくるのに、今日の彼は妙に静かだ。
「？カヴィ「…なら、真面目に言ったら逃げずに聞いてくれるか？」
カヴィンの顔を覗き込もうとしたら、先に彼の方が動いた。
Aの座っている椅子の背もたれの奥側をカヴィンが掴んだため、彼に抱かれているような錯覚に陥る。
近過ぎる距離を離したいのに、隅席のため奥に逃げも出来ず壁に背を預けた。
「でもっ、カヴィンは他の女性と…」
「念の為言うけど、これは女だから言ってるんじゃない。Aだから、Aにだけ、言ってるんだぜ？」
彼のことは憎からず思っていた。
思ってはいたが、あまりにも急展開過ぎて、何を言ったらいいのか分からない。
こんな時に小洒落たセリフの一つも囁き返すのが大人の女なのだろうが、生憎そんなノウハウも経験も持ち合わせていなかった。
カヴィンの左手がそっとAの頬に触れた拍子に、彼愛用のメンソールシガーの香りが鼻先を掠める。
「よくそんな歯の浮くようなセリフ吐けるな…」
「そりゃ俺だって、正直恥ずかしいけどな。…愛なんて、伝えなきゃ伝わらねぇよ」
煙に巻いたは果たしてどちらか2→←【リク��】閉鎖空間で紡ぐ愛 (写真家)
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ドクモ(プロフ) - リクエストでーす！ ツンデレ黒無常さんが素直になるまで焦らしたい願望です！ (2019年5月21日 2時) (
レス) id: 763783cfb5 (このIDを非表示/違反報告)
MH改め蓬莱(プロフ) - 林檎饅頭さん» 林檎饅頭さん、リクエストありがとうございます！折角リクいただいた所大変申し訳ありませんが、今執筆スピードの都合でリクを締め切らせていただいております… 今後再開出来そうでしたら、その時に書かせていただきますね！ (2019年4月7日 0時) (レス) id: a0dc3dcbfc (このIDを非表示/違反報告)
林檎饅頭 - リクエストなんですけど友情で風邪をひいたヴィオレッタちゃんに看病する感じの物語を作って欲しいです。 (2019年4月6日 1時) (レス) id: 19ec5be348 (このIDを非表示/違反報告)
MH改め蓬莱(プロフ) - 夜月レナさん» コメントありがとうございます！上手いこと彼の魅力を出しつつ、甘く出来てるか不安だったのでそう言っていただけて本当に嬉しいです(´ω｀*) (2019年3月23日 14時) (レス) id: a0dc3dcbfc (このIDを非表示/違反報告)
夜月レナ(プロフ) - ｯ...(尊死)。泥棒めっちゃ可愛いっす。最高な作品をありがとうございます...!!なぜ星ボタンが一度しか押せないのか... (2019年3月23日 1時) (レス) id: 0d570b7f47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蓬莱 | 作成日時：2019年2月18日 23時
