そんな永遠も悪くない (リッパー) ページ20
回転木馬、寂れた看板、擦り切れたテント…今では本来の用途で訪れる者のいなくなった遊園地。
シルクハットと大きな鉤爪が目を引く長身の男と、その足元に伏せる傷だらけのA。
「今回は全員飛ばせると思ってたのに…貴女のお陰で1人逃げられてしまいました」
大して悔しくもなさそうに男、ジャックは言う。
仮面で表情が見えないのに加え、話し方も淡々としており感情が読みにくい。
くつくつと笑いながらジャックは血を失ってぐったりしたAの傍に屈み、上半身を起こさせると自身の胸板に誘った。
「Aの能力…救助や追いかけっこには向いていますが、1人で生き残るにはハンデが大きすぎる。貴女らしい、不器用な能力ですねぇ」
頭に添えた手で、Aの艶やかな髪を愛おしそうに梳く。
何も知らない者が傍から見れば、恋人同士の甘い逢瀬に見えなくもない。しかし実態を鑑みれば猫が鼠を弄ぶ、の方が相応しいだろう。
「貴女の強気なところ、好きですよ」
「こんな時まで…相変わらず、ジャックは人を食ったことばかり言うね」
「心外ですねぇ、私はいつだって本気ですよ？ゲーム中必死に仲間を庇う姿も、いつも私を睨みつける熱い視線も好きです。
…切りつけて切りつけて切りつけて、心の底から屈服させたくて堪らなくなる」
ああでも、直ぐに諦めちゃ嫌ですよ？なんて付け足す。
明日の天気でも話すかのような軽い口調で言うものだから冗談か？と聞きたくなるが、きっと本気だ。
「好きな人ほど虐めたくなってしまう性で…でもそればかりでは嫌われてしまいますからね」
ふわりっと赤い花弁が舞い浮遊感に包まれたかと思うと、Aは膝裏と背中を支えられてジャックの腕中に収まっていた。
「痛くありませんか？」
「…風船吊りに比べたらかなり快適だよ」
血を失いすぎて既にAの視界は暗くなりつつある。
もう自分の意識が途切れる寸前だと悟った。
「次、こそは…負けないっ…」
「おやおや、気絶する直前まで気丈ですね」
ジャックは地面に口を開けたうろ穴に向かって歩き、その淵で立ち止まった。
Aの手にそっとバラを1輪握らせる。
「そんなところも好きですよ、A。貴女がいるなら、あのふざけた館に永遠にいるのも悪くないと思うくらい、ね」
ジャックはじっとAの顔を見つめると、ゆっくり顔を近づけて唇を重ねる。
そして再びAの顔を見つめてから、名残惜しそうに地下室の中へ落とした。
【リク��】閉鎖空間で紡ぐ愛 (写真家)→←【リク�◆杆鬚錣蕕覆ぬね� (占い師)
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ドクモ(プロフ) - リクエストでーす！ ツンデレ黒無常さんが素直になるまで焦らしたい願望です！ (2019年5月21日 2時) (
レス) id: 763783cfb5 (このIDを非表示/違反報告)
MH改め蓬莱(プロフ) - 林檎饅頭さん» 林檎饅頭さん、リクエストありがとうございます！折角リクいただいた所大変申し訳ありませんが、今執筆スピードの都合でリクを締め切らせていただいております… 今後再開出来そうでしたら、その時に書かせていただきますね！ (2019年4月7日 0時) (レス) id: a0dc3dcbfc (このIDを非表示/違反報告)
林檎饅頭 - リクエストなんですけど友情で風邪をひいたヴィオレッタちゃんに看病する感じの物語を作って欲しいです。 (2019年4月6日 1時) (レス) id: 19ec5be348 (このIDを非表示/違反報告)
MH改め蓬莱(プロフ) - 夜月レナさん» コメントありがとうございます！上手いこと彼の魅力を出しつつ、甘く出来てるか不安だったのでそう言っていただけて本当に嬉しいです(´ω｀*) (2019年3月23日 14時) (レス) id: a0dc3dcbfc (このIDを非表示/違反報告)
夜月レナ(プロフ) - ｯ...(尊死)。泥棒めっちゃ可愛いっす。最高な作品をありがとうございます...!!なぜ星ボタンが一度しか押せないのか... (2019年3月23日 1時) (レス) id: 0d570b7f47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蓬莱 | 作成日時：2019年2月18日 23時
