例え束の間の微睡みでも2 ページ16
「痛ったたた…」
あの後怪我をして帰ったAが、泣きながら謝るエマをあの手この手で宥め賺して落ち着かせ、エミリーのお説教まじりの処置を受けて夕食を済ませて…気がつけばとっくに夜が更けていた。
目まぐるしい1日の終わりに一息つくべく、庭に来て噴水の水音をBGMにベンチで寛いでいた。
ギィッ…っと庭の扉が開く音がする。
誰が来たのかと視線を寄越す前に、来訪者の方からAに声をかけてきた。
「おい」
「范無咎さん…」
目の前にいるのは、今日のゲームのハンターだった范無咎。
ゲーム外でサバイバーとハンターが交流すること自体はよくあるが、白黒無常の、特に范無咎が訪ねてくるのはかなり珍しい。
心做しか元気のないような、落ち込んだような表情をしている。
Aに断りもせず隣にドカッと腰掛けてから言った。
「謝必安…白い方が、お前と話したいと言っている」
「謝必安が？」
一体私に何の用だろう？そして用があるなら何故初めから彼が来ないのだろう？
頭の中は疑問符だらけだが、断る理由もないので了承した。
とぷんっと黒い沼のような地面に沈み、続けて現れた謝必安。
彼は范無咎よりわかりやすく、眉間に皺を寄せ、苦しげな表情をしていた。
「こんばんは。怪我は…如何ですか」
「こんばんは…エミリーに手当してもらいましたから、問題ないですよ」
「そうですか…」
それきり彼はなかなか口を開かない。
「ゲームの後に貴女のことが気になって情報を見ました。Aさんは……」
意を決したかのように口を開くと、ずっと伏せていた目をゆっくりと上げ、Aと視線を合わせる。
「…弟さんを、誤って殺してしまったのですね」
「っ!?」
ドクンッ、と心臓を締め付けられる感覚と息の仕方すら分からなくなるほどの圧迫感。
何故それを、と問う余裕もないAに、更に顔を歪めながら続ける。
「私達ハンターは、貴女達がそうであるようにサバイバーの情報を与えられます。
名前と容貌、能力、使用する道具、そして…ゲームで脱落させたことのあるサバイバーに限り、荘園に来た経緯も。
サバイバーに他サバイバーの情報を流すのは厳禁、という条件付きですが」
背の高い彼とは座ってもまだ差はあるものの、目線は大分近づいて表情がよく見える。
例え束の間の微睡みでも3→←例え束の間の微睡みでも1 (白黒無常)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 411人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ドクモ(プロフ) - リクエストでーす！ ツンデレ黒無常さんが素直になるまで焦らしたい願望です！ (2019年5月21日 2時) (
レス) id: 763783cfb5 (このIDを非表示/違反報告)
MH改め蓬莱(プロフ) - 林檎饅頭さん» 林檎饅頭さん、リクエストありがとうございます！折角リクいただいた所大変申し訳ありませんが、今執筆スピードの都合でリクを締め切らせていただいております… 今後再開出来そうでしたら、その時に書かせていただきますね！ (2019年4月7日 0時) (レス) id: a0dc3dcbfc (このIDを非表示/違反報告)
林檎饅頭 - リクエストなんですけど友情で風邪をひいたヴィオレッタちゃんに看病する感じの物語を作って欲しいです。 (2019年4月6日 1時) (レス) id: 19ec5be348 (このIDを非表示/違反報告)
MH改め蓬莱(プロフ) - 夜月レナさん» コメントありがとうございます！上手いこと彼の魅力を出しつつ、甘く出来てるか不安だったのでそう言っていただけて本当に嬉しいです(´ω｀*) (2019年3月23日 14時) (レス) id: a0dc3dcbfc (このIDを非表示/違反報告)
夜月レナ(プロフ) - ｯ...(尊死)。泥棒めっちゃ可愛いっす。最高な作品をありがとうございます...!!なぜ星ボタンが一度しか押せないのか... (2019年3月23日 1時) (レス) id: 0d570b7f47 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蓬莱 | 作成日時：2019年2月18日 23時
