例え束の間の微睡みでも1 (白黒無常) ページ15
「もう少しでゲートだよ、エマ！」
「もっ、走れない、のっ…!!」
よろめきながらも必死に走る1人と、その後ろを守りながら走るもう1人。庭師のエマと護衛のAだ。
2人の数メートル後から追い上げるのは、長身過ぎる点を除けばサバイバーと変わらないような涼しげな容貌の男。
だが綺麗に編み込まれた長髪を揺らし、瞳を真紅に光らせて迫る様は恐怖心を煽るには十分過ぎた。
その男、白黒無常の謝必安が2人に向けて傘を振りかぶる。
「A危な「そのまま走って!!」
振り返ろうとするエマを遮り一息で叫ぶ。少しでも足を止めれば確実にやられる。
だが結局、無慈悲な凶器はAを強かに打ち据え、ダウンさせた。
「庭師には逃げられましたね…さっさとあなたを打ち上げて引き分けましょうか」
慣れた手つきでAを風船に吊り上げ、抵抗する間を与えずロケットチェアのそばへ連れていく。
すると椅子には括らず、その手前で彼女を落とした。
「以前から気になっていることがありました」
痛む傷を抑えるAを気にかけず、謝必安は穏やかな口調で言った。
「警棒で直接ハンターを攻撃しないのは何故です？その方がより確実に動きを止められるでしょう。
武器を投げる時もそうだ…必ず急所を避けている」
「!!それは……」
確かにAが警棒で狙うのは、ハンターの飛ばした攻撃や振るった武器、投げる時は手足、腹部など致命傷にならない部位。
意識的にしていることではあったが、こんなに早く、それもハンターから指摘されるとは思いもしなかった。
「……護衛の目的は、あくまで味方を守ることです。
…人を傷つけることじゃない」
「おかしなことを…我々ハンターは貴女達を狩る者なのに」
「それでも…出来ません」
清々しく晴れた空。
逃げ惑う聴衆。
真っ赤に染まった演壇。
呆然と立ち尽くす自分……
Aの脳裏に、嫌という程鮮明に蘇る光景。それが彼女に歯止めをかけていた。
そんなAの心を知ってか知らずか、じっと黙って見つめる謝必安。
「……Aは、優しいですね。しかし残念ながら私はハンターですから…貴女を見逃せません」
Aを担ぎ、今度こそロケットチェアに括りつけた。
最後のサバイバーだったので、即座に椅子が音を立てて回転し始める。
「…では、さようなら」
「っわぁぁぁぁぁぁぁぁっ…!!」
廃工場の空に、Aの叫び声が木霊した…
* * *
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ドクモ(プロフ) - リクエストでーす！ ツンデレ黒無常さんが素直になるまで焦らしたい願望です！ (2019年5月21日 2時) (
レス) id: 763783cfb5 (このIDを非表示/違反報告)
MH改め蓬莱(プロフ) - 林檎饅頭さん» 林檎饅頭さん、リクエストありがとうございます！折角リクいただいた所大変申し訳ありませんが、今執筆スピードの都合でリクを締め切らせていただいております… 今後再開出来そうでしたら、その時に書かせていただきますね！ (2019年4月7日 0時) (レス) id: a0dc3dcbfc (このIDを非表示/違反報告)
林檎饅頭 - リクエストなんですけど友情で風邪をひいたヴィオレッタちゃんに看病する感じの物語を作って欲しいです。 (2019年4月6日 1時) (レス) id: 19ec5be348 (このIDを非表示/違反報告)
MH改め蓬莱(プロフ) - 夜月レナさん» コメントありがとうございます！上手いこと彼の魅力を出しつつ、甘く出来てるか不安だったのでそう言っていただけて本当に嬉しいです(´ω｀*) (2019年3月23日 14時) (レス) id: a0dc3dcbfc (このIDを非表示/違反報告)
夜月レナ(プロフ) - ｯ...(尊死)。泥棒めっちゃ可愛いっす。最高な作品をありがとうございます...!!なぜ星ボタンが一度しか押せないのか... (2019年3月23日 1時) (レス) id: 0d570b7f47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蓬莱 | 作成日時：2019年2月18日 23時
