見えない、見たい、その心3 ページ12
その言葉に一瞬ピタリと動きを止めるイソップ。するとほんのりと彼の顔が紅色に染まって来るではないか。
「ありがとうございます…。気味悪がられることの方が多いので、感謝されるのは新鮮です。
その、引き受けたのは…ゲームでは、貴女がいつもハンターの前に立ってくださるから、自分が無事でいられたことが沢山ありました。…僕なりのお礼です」
途切れ途切れ、ゆっくりと言葉を紡ぐ彼。
「でも本音を言えば、傷つかないでいて欲しいです…」
だから、と言葉を切ると彼の顔がAの脚に近づき、たった今施術した傷のすぐ真上、太ももに唇を寄せたではないか。
柔らかくて温かい、ふにっとしたものが触れる。チュッと音を立てた後、続けて生温いヌルッとした感触。
「っ!?いやいやいや待って待って!?」
突然すぎる行動に、Aが慌てて頭を押し返そうとするも、器用に指を絡めて手を抑え込まれてしまい適わない。
「っ、ちょっ、とっ…何っ、し、てっ！」
今度は先ほど舌が這った場所を強く吸われる感覚。
皮膚が湿り気を帯びて鋭敏さが増している。
「っ待って、カー、ルっ、さんっ…ぅっ!?」
軽く痺れを感じ始めた頃、チュポッと音を立ててやっと彼の頭が離れる。
吸われた箇所を見れば、しっかりと赤紫色の跡が残っていた。
「その位置、走り回ったら確実に見えますよ。見られるのが嫌なら、今日はハンターに見つからないように、そして捕まらないように頑張ってくださいね」
跡をつけた張本人はというと顔色を変えないどころか、何処と無く楽しそうに目を細めてすらいる。
なるほど、確かに位置的にはスリットの数十センチ下の外もも部分で、歩いていれば隠れるが激しく動けばスリットから覗く、絶妙な箇所だ。
「僕は見られても構いませんけど」
Aはますます彼の意図するところがわからなくなった。
今の発言は彼特有の危なっかしい言い回しか、それとも確信犯か。
彼の真意を聞く前に、彼は部屋から出ていってしまった。
果たして今日のゲームに、平常心で臨めるだろうか…衣服が掠れるだけで彼の唇を、舌の感触を思い出してしまう。
まだバクバクとなり続ける心臓に、落ち着け、落ち着けと念じながらAも部屋を後にした。
月光、紫煙、花一輪1 (マジシャン)→←見えない、見たい、その心2
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 411人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ドクモ(プロフ) - リクエストでーす！ ツンデレ黒無常さんが素直になるまで焦らしたい願望です！ (2019年5月21日 2時) (
レス) id: 763783cfb5 (このIDを非表示/違反報告)
MH改め蓬莱(プロフ) - 林檎饅頭さん» 林檎饅頭さん、リクエストありがとうございます！折角リクいただいた所大変申し訳ありませんが、今執筆スピードの都合でリクを締め切らせていただいております… 今後再開出来そうでしたら、その時に書かせていただきますね！ (2019年4月7日 0時) (レス) id: a0dc3dcbfc (このIDを非表示/違反報告)
林檎饅頭 - リクエストなんですけど友情で風邪をひいたヴィオレッタちゃんに看病する感じの物語を作って欲しいです。 (2019年4月6日 1時) (レス) id: 19ec5be348 (このIDを非表示/違反報告)
MH改め蓬莱(プロフ) - 夜月レナさん» コメントありがとうございます！上手いこと彼の魅力を出しつつ、甘く出来てるか不安だったのでそう言っていただけて本当に嬉しいです(´ω｀*) (2019年3月23日 14時) (レス) id: a0dc3dcbfc (このIDを非表示/違反報告)
夜月レナ(プロフ) - ｯ...(尊死)。泥棒めっちゃ可愛いっす。最高な作品をありがとうございます...!!なぜ星ボタンが一度しか押せないのか... (2019年3月23日 1時) (レス) id: 0d570b7f47 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蓬莱 | 作成日時：2019年2月18日 23時
