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第一章 5 ページ6

____其処には、可愛らしいお洋服を着た、愛らしいお顔立ちのエリス嬢がニコニコと笑って、私を抱きしめていたのだった。

「えっ…エリス嬢…!」
「うふふ、びっくりした?驚いたかしら、オオガミ!…ねぇ、それよりリンタローが待ちくたびれてたわよ?」
「は、はぁ…。…あっ、仕舞った、急がなきゃ!失礼致します、エリス嬢。では!」

私は慌ててエリス嬢に礼をすると、小走りで首領執務室へと向かう。
その背後では、未だ双黒の口喧嘩が続いているらしく、中也が治君に怒る声が背後から追いかけてきた。

私は少し深呼吸をして息を整える。
それからとんとん、とノックをした。

「……大狼です、首領。」
「入り給え。」

無駄に大きく豪華な装飾が施された扉の向こうから、首領の低い声が聞こえてきた。
私はその声に従い、黙って扉を押して中へと入る。
入口から真っ直ぐに敷かれたレッドカーペットは、奥のこれまた豪華な装飾の机へと繋がっている。
その机の向こうで少し不満げな表情で此方を見詰めている人物こそが、この街の暗部を統べる者。

__ポートマフィア首領、森鴎外である。

「……遅かったね、星彩君。」
「御多忙な首領の貴重なお時間を奪ってしまうことになってしまい、誠に申し訳御座いません、首領。」

私は跪いたままそう答える。

「本当に。私の貴重なエリスちゃんと戯れる時間を奪ったのだよ、君は。」
「…面目も御座いません。首領がその詫びに死ねと仰るならば、今ここで腹を斬ってみせましょう。」

私は矢っ張り跪いたまま、目を伏せてそう返す。
…と、首領はふっ…と笑った。

「……全く、本当に星彩君は完璧な部下だねぇ。失敗を冒しても言い訳をしない。私に媚びも売らない。仕事は完璧だし、「ほうれんそう」もちゃあんと分かってる。」
「有難きお言葉。偏に……、其れは首領が私めを幼少期から育てて下さったおかげかと。」

私はそう返した。
マフィアに置いて、上下関係は絶対。
私は首領に言い訳をしてはならないし、私の育てて下さったのだから感謝の意も伝えるべきである。
その上首領を不快にさせてはならないし、自分の首が切られない為に、大狼星彩という人物に飽きさせてはならない。

「……本当に、福沢殿などに渡したくはないものだな。」

そう、ぽつりと云った首領に、私は目を伏せたまま、聞こえない振りをしていた。

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設定タグ:文スト , 文豪ストレイドッグス , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年9月27日 16時

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