紫の王子さまとお姫さま【stxxx】

夜ご飯 ページ10

今日は、なーくん、いつにも増して帰ってくるのが遅い。
待ち遠しい気持ちを抑えて、私はコトコト料理中。

私が料理しながらフンフン鼻歌を歌っていると、ガチャ、という鍵の音に遮られた。


な「Aただいまー！」


なーくんだ！
私は抑えていた待ち遠しい気持ちを抑えきれなくなり、玄関の方へ飛んだ。


「なーくん、おかえりなさい！」


エプロンのまま、勢いよくなーくんに飛びつく私。


な「わあっ！」


ごつんっ！


な「いてっ！」


え？
状況を慌てて確認すると、私が飛びついたことでなーくんの頭がドアにぶつかっていた。


「あああっ……なーくん……！ ご、ごめんね……」


わあ、バカみたいだ。
なんで私ったら、大好きな人をこんな風に……。


な「いいよ、A。これぐらい」


なーくんはのんびり笑っていた。


「ほんとに……？」


な「大丈夫大丈夫」


「そ、そう」


な「それより、いい匂い！」


思わずその言葉を聞いて、私はパッと笑顔になっちゃった。


「うん、疲れてるでしょ？ 今日のご飯はグラタンだよ！」


今日は寒いから、なーくんの体を私の愛と料理でいっぱいあたためたいの！


な「あちちっ……！」


「あはは、ダメだよー落ち着いて食べなきゃ」


なーくんってこういうところが可愛いんだよね。
火傷はしてほしくないなぁ。

風邪→←お疲れ様！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す