兄は、オレンジのひつじさん2

花嫁修行 ページ10

Aside


「お兄ちゃん……お兄ちゃん……」


お兄ちゃんに会えないことなんて、わかっている。


家のように、ベッドでは寝られない。
私に用意されたのは、毛布1枚だけ。
仕方ないので、床で毛布をかけて寝るしかない。


毛布にもぐると、涙が溢れてくる。
どうしても心細さが大きくなっていく。

どうしたら、拭えるかなぁ。
ここは真っ暗な部屋なんかじゃなくて、学校。
まやとも一緒で……。
ダメだ。

そんな思いをしながら、昨日は夜を過ごした。

ずっと、夢だったらいいのにって思っていた。
でも……これは夢じゃなくて現実。

そのことを、今日起きてはっきりと分かった。
分かったというか、受け入れるしかなかった。

今だって、こんなのは夢であってほしいと思っている。


雄「さあ、料理の次はリビングの掃除」


「はい……」


花嫁修行が始まった。
制服はクローゼットの中に入れるよう命令されたので、今は無地のワンピースを着ている。


さっきから、お腹がずっとぐーぐーと鳴っている。
結構大きい音だから、みんなも聞こえてると思うんだけど。

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