兄は、オレンジのひつじさん2

続き ページ9

俺は、施設の先生にAがいなくなった原因を全て話した。


ジ「Aは、どうしても俺といるのが嫌だったら、施設に戻ってきていいと言われていたと言っていまして。俺との暮らしが嫌だったのかと聞くと、謝るだけで電話を切ったので」


先生「怪しいわね……。まあ、確かに私も言っていたのよ。お兄さんとの暮らしが嫌だったら、帰ってきてもいいとはね。でも、こないだ電話してみたら、お兄ちゃんはすごく優しい人でしたと言っていて。なんら問題はないと思っていたのよ。もしかしたら嘘はできるだけつきたくなかったんだと思う」


ジ「A……」


Aは優しい子だから、先生の言っていることは確かに俺もそう思う。


ジ「やっぱり、どういった経緯でああなったのかは分かりません、よね？」


先生「そうねぇ……はっ！」


何か分かったんですか？
そう聞こうとして、俺は思わず顔を上げた。


先生「実はね、この間久しぶりに施設を出てシェアハウスをしてる男の子達が来てくれたのよ。近況報告で、Aちゃんがお兄さんと暮らし始めたことを伝えたら、しつこく聞かれて……。でもあの子達、とっても真面目だったから……。勉強とかでも、全員成績は優秀だったし、学校内で問題を起こすっていうのも一度もしなかったわ。だからてっきり、少し会いたいと思っていたんじゃないかと思って」


先生の話を聞けば聞くほど、よく分からなくなってきた。

といっても、勉強ができて学校で問題を起こさなかった人が一度も悪いことをしないというわけではない。

悪いことは、誰だってする。


俺は、Aがいる可能性があるなら絶対に確認をしたい。

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