兄は、オレンジのひつじさん2

親友 ページ12

まやside

父「飯、食わねぇのか？」


今日は、お母さんが夜まで仕事でお父さんと夜を過ごしているんだけど……。

全然ご飯に手をつけられていない。


まや「ちょっと食欲がない……」


父「そっか……」


A。
私の親友。
突然いなくなった親友。

私の親友のAがいなくなったのは、私が学校を休んだ日。

その日の下校中に、Aは行方不明になったみたい。


Aのお兄さんによると、Aはいきなり施設に戻ると言い出して帰って来なくなったようだ。

でも、施設にはいなくてその時の電話もまるで誰かに言わされているようでしかなかったって、お兄さんは話していた。
だから、何者かに連れ去られた可能性が高いんだって。

いつもだったら、私とAが下校していた。
私が学校を休んだ……ということは、あの時Aは1人で下校していた。


私、なんであの時に風邪なんかひいて学校を休んだんだろう。

ちょっとぐらい具合が悪くても、少しでも無理していけば良かった。

そうしたら、一緒に下校できた。

Aだって、連れ去られるということを防げたかもしれないのに。


ねぇA。
帰ってきてよ。
いつもの可愛い笑顔で、私のこと呼んでよ。まやって。

ポタポタと涙が溢れて、服には染みを作っていた。

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