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持ってきてくれたお盆を受け取ろうとするが、スイっと私の手には渡さず、折りたたみ式の小さい机の上に置いた。
いや、それだと私食べられないんですけど…。



「銃兎さん、ここにきて意地悪はして欲しくなかったです」


「違いますよ」


コツンと軽く病人である私の頭を小突き、「口開けろ」とスプーンを口元に寄せてきた。


「…」


「な、なんだよその顔」


「絶対熱い、じゃん。そこも考えてれたら百点満点だだったのになぁ」


「…ふー、ふー。これで、いいだろ」



大の大人がふーふーなんて、と笑いそうになったが、一見嫌嫌な姿に見えてもちょっと赤くなった耳が恥ずかしいという気持ちを物語っている。銃兎さんのこういう所が私は大好きで、「ありがとう」とちゃーんとお礼をしてから差し出された少し冷めた雑炊を食べた。


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雑炊を完食し、薬も飲んで一段落して気が緩んだのか、Aはすやすやと呑気に眠ってしまった。これ以上熱が上がらねぇように布団を綺麗に掛け直して、そろそろ仕事に戻ろうかとスマホを取り出し、時刻を確認しようとすると服の袖を引っ張られ立ち上がるのを阻止された。袖を見ると眠っているはずのAがしっかりと握っており、無意識の割には力が強いなと試しに顔にかかった前髪をかきあげると、薄らと目を開けていたAと目が合う。




「何してんだよ」


「行っちゃう、気がしたから…」


「もう少し居てやりてぇが、俺も仕事なんだよ」



寝ぼけて頭が働いていないのか、それとも熱で精神が少し後退してしまっているのか、Aは頑なに手を離そうとしない。このAはかなりレアだ。が、恋人が可愛くて動けませんでした。なんて馬鹿げたことで仕事は休めないのが大人で、Aには悪いがもう一度離すよう促す。



「A」


「…やだぁ」


「はぁ。一体いつから貴方は赤ちゃんになってしまったんですか?」


「その赤ちゃんを置いていくんですか」


「そんな子犬みたいな瞳で見たって無駄ですよ。ほら、離しなさい」


「じゃあ、明日も来てくれる…?」


「っ…」


布団を目元ギリギリまで上げて(恐らく)照れていることを隠しているAの姿は、久々に見た俺にはあまりにも毒で、一瞬理性という理性が揺れた。


「分かりました、分かりましたから…。ほら、約束したから離せ」


「うんっ…!」



ようやく離された袖はシワが綺麗に出来てしまっていたが、今日はAの可愛さに免じて許し、口はまずいから頬に口付け、別れの挨拶もそこそこに部屋を出た。

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レイ(プロフ) - 書き手さんならではのスランプ、ありますよね…。ゆっくりで大丈夫ですよ、いつでも私たちは待ってますからidさんのペースでこれからも頑張ってください!貴女の書かれるお話が大好きです。 (2019年4月12日 12時) (レス) id: ddb4bf0a2e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:id | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年4月6日 16時

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